2003 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的発現蛋白HMGA分子を応用した消化器癌の診断・遺伝子治療戦略
Project/Area Number |
15790724
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
阿部 展次 杏林大学, 医学部, 助手 (40266747)
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Keywords | 膵癌 / HMGA / HMGA2 / 免疫組織科学的検討 / RT-PCR / 診断 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
多くの間質系腫瘍でHMGA2遺伝子の再構成が認められることが報告されており、間質系腫瘍発生にHMGA2が重要な役割を担っていることが明らかになりつつある。しかし、上皮系腫瘍ではHMGA2過剰発現が腫瘍発生や悪性度獲得と関連があることが報告されつつあるが、未だ不明な部分が多い。本年度の目的は、消化器癌におけるHMGA2発現を解析し、HMGA2が消化器癌の診断/遺伝子治療の標的分子になりえるか否かを検討するものである。 消化器癌として最も悪性度の高い膵癌を対象に検討を行った。膵癌cell line(Panc-1、MiaPaCa-2、AsPC-1、BxPC-3)及び手術的に得られた膵癌組織28例、非腫瘍性膵組織8例(正常膵6例、慢性膵炎2例)を用いて、HMGA2特異抗体による免疫染色を行い、蛋白発現について検討した。このうち、膵癌17例、非腫瘍性膵組織6例においてはhemi-nested RT-PCR法を用いてHMGA2 mRNA発現の検討を行った。 hemi-nested RT-PCR法によるHMGA2発現の検討では、膵癌17例全例においてHMGA2 mRNA発現を認めた。非腫瘍性膵組織においても6例中5例に発現を認めたが、その発現レベルは癌と比べ明らかに低かった。免疫組織化学的検討では、4種類の膵癌細胞株全てにおいて腫瘍細胞の核に強い濃染像を認めた。非腫瘍性膵組織においては、腺房細胞では核濃染像を認めず、膵管上皮細胞にはわずかに核濃染を認めるものが存在したが、islet cellにびまん性の核濃染像を認めた。膵癌では全例においてびまん性の強い核濃染が認められた。 以上の結果より、間質系腫瘍だけでなく、上皮系腫瘍においてもHMGA2は癌発生/進展に何らかの役割を担っている可能性が示唆された。その癌特異的な発現パターンから、HMGA1同様に、HMGA2は消化器癌における診断/遺伝子治療の標的分子になりえる可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Abe N, et al.: "An Increased High Mobility Group A2 Expression Level Is Associated with Malignant Phenotype in Pancreatic Exocrine Tissue"British Journal of Cancer. 89・11. 2104-2109 (2003)
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[Publications] Abe N, et al.: "High Mobility-Group A1 [HMGA1] is expressed in metastatic adenocarcinoma to the liver and intrahepatic cholangiocarcinoma, but not in hepatocellular carcinoma : Its potential use in the diagnosis of liver neoplasms"Journal of Gastroenterology. 38. 1144-1149 (2003)