2003 Fiscal Year Annual Research Report
薬物包埋ゼラチンシートを用いた冠動脈バイパス補助療法の開発
Project/Area Number |
15790740
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小田 克彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60323002)
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Keywords | ラパマイシン / Drug delivery system / 冠動脈バイパス手術 / 新生内膜 / 再狭窄 |
Research Abstract |
まず、薬物としてラパマイシンを用いる系を確立した。ラパマイシンは脂溶性であり、吸収素材としてはゼラチンシートよりも、ポリ乳酸カプロラクトンの共重合体(50:50)が望ましいことが、京都大学再生医科学研究所の田畑教授との共同実験で判明し、クロロホルムを共溶媒として両者を溶解し、直径27mmのラパマイシン徐放フィルムを作成することに成功した。 800μgのラパマイシンを含有するフィルムと含まないフィルムとを作成し現在、動物実験を継続中である。このラパマイシンの量については、Drug-eluting stentの量140μg/cm^2に準じた。 動物実験はビーグル犬を用いてラパマイシン群が2頭、コントロール群が3頭、植え込み手術が終了したところである。術式の実際としては、両側のそけい部を切開して、大腿動静脈を剥離、露出し、一側では、大腿動脈を約10mm採取して、大腿動脈に端々吻合するAVモデル、反対側では大腿動脈を約10mm採取して、再び大腿動脈に吻合するAAモデルを作成し、それぞれあらかじめ作成したフィルムを吻合部を含めてグラフトに巻き付けておく。2週間目でそけい部を切開し、肉眼的観察、及び病理組織学的観察を行う予定である。 次年度は、それぞれの群(各5頭)の解析を進め、新生内膜抑制効果が血管の外膜側からのラパマイシン徐放できるのかどうか、そのメカニズムについて解明されることが期待される。動脈と静脈での狭窄機転の相違なども明らかになる可能性がある。
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