2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物包埋ゼラチンシートを用いた冠動脈バイパス補助療法の開発
Project/Area Number |
15790740
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小田 克彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60323002)
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Keywords | シロリムス(ラパマイシン) / Drug delivery system / 新生内膜 / 冠動脈バイパス術 / 再狭窄 |
Research Abstract |
薬物としてシロリムス(ラパマイシン)を用い薬物徐放フィルムを作製した。シロリムスは脂溶性であり、吸収素材としてはポリ乳酸-カプロラクトンの共重合体(50:50)を用いクロロホルムを共溶媒としてシロリムス800μgを溶解し直径27mmのシロリムス徐放フィルムを作製した。シロリムスの量はDrug-eluting stentの量140μg/cm^2に準じた。 動物実験は体重約10kgのビーグル犬を用いた。大腿動脈-大腿動脈を端々吻合しこれを動脈吻合モデルとし、大腿静脈-大腿動脈を端々吻合したものを静脈吻合モデルとした。吻合には8-0モノフィラメント糸を用いた。実験群として(1)シロリムス徐放フィルム使用群、(2)シロリムスを包埋しないフィルムを使用した群、(3)フィルムを使用しない群の3群で実験を行った。現在まではそれぞれの群において各5頭手術が終了している。手術後4週間後に犠牲死させ、肉眼的所見、病理組織学的観察を行った。現在まで全ての病理結果がそろっていないため統計学的評価はできないが、シロリムス徐放フィルムを用いた群が動脈モデルで明らかに新生内膜が少ない傾向を認め、静脈モデルでも動脈モデルほど明らかではないが新生内膜はやはりシロリムス徐放フィルムに少ない傾向を認めた。また、PCNA、αアクチン、eNOS、AM-3K抗体などについて免疫染色を行っている。 次年度の予定は統計学的評価、免疫組織学的評価を行った後、シロリムスの量を80μg、8μgとしたフィルムを作製し同様の実験を行い、内膜増殖を抑制する至適なシロリムスの量を検討する予定である。また、ポリ乳酸-カプロラクトン共重合体の組成を変え徐放に適したフィルムの開発を行う予定である。吻合部狭窄のメカニズムの解明、血管外側からの新生内膜抑制効果が得られる可能性があり冠動脈バイパス術補助療法への臨床応用の可能性がある。
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