2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳血流不全に伴う運動誘発電位変化と組織学的変化に関する実験的検討
Project/Area Number |
15790776
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐久間 潤 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60305365)
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Keywords | 運動誘発電位 / ラット / 中大脳動脈 / 電気神経生理学 / 血流一時遮断 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
Wister系ラットを用いて、脳表を直接電気刺激することで対側前肢からの運動誘発電位(MEP)の記録を試み、虚血負荷によるMEPの変化と組織所見との相関について検討した。 麻酔器を用いてハロセンにて麻酔導入後、大腿静脈にカニュレーションを行ないプロポフォールの持続点滴静注にて麻酔を維持した。左前頭開頭を行い脳損傷を避けるため硬膜外に平坦化した銀電極を挿入し単極で電気刺激を行った。右前肢に針電極を2本刺入してMEPを記録した。刺激同側で田村の方法に準じて頬骨弓基部近くで開頭し中大脳動脈起始部で血流を一時遮断した際の誘発筋電図の変化を検討した。ラットはそのまま閉頭し48時間後にsacrificeしてTTC染色にて梗塞範囲を観察し、MEP所見と比較検討した。 刺激対側の前肢から再現性のある多相性の電位が記録された。この電位は刺激強度1.5mAから記録された。筋弛緩薬および吸入麻酔薬の投与で電位は消失したことから刺激電流の滑走による筋電図ではなく脳の運動領野電気刺激による誘発筋電図と考えられた。刺激側の中大脳動脈の血流を遮断するとMEP振幅の低下または消失がみられた。血流遮断を解除するとMEPの振幅が回復した。組織所見を検討するとMEP振幅が回復した例では梗塞巣の範囲は皮質脊髄路に及んでいなかった。ただし同一条件での虚血負荷でもMEP振幅の低下の程度には個体差があり、側副血行路の発運の個体差と推測された。またMEPが消失し回復しなかった個体では、麻酔覚醒後には片麻痺を認め、組織学的にも中大脳動脈皮質枝領域に広範な梗塞巣が観察された。今回の検討では、穿通枝の虚血に伴う深部白質での皮質脊髄路の血流不全によるMEP変化と皮質枝の虚血によるMEP変化を区別することはできなかった。
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