2003 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬の脳保護作用-ミクログリア機能、特にATP受容体への作用からの検討
Project/Area Number |
15790827
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森 隆 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00336786)
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Keywords | 全身麻酔薬 / ミクログリア / プリン受容体 / P2X受容体 |
Research Abstract |
本年度は最初にミクログリアの培養、パッチクランプ法を用いたP2X受容体電流の記録に取り込んだ。その後、P2X受容体に対する全身麻酔薬の影響を調べ、以下の結果を得た。 1)ラットミクログリアの培養および観察 当大学院第一生理学教室で継代培養しているラットミクログリアを使用した。培養にも参加し、その方法を習得した。培養ミクログリアの形態学的観察では、活性化型のameboid型(またrounded型)と、休止型のramified型とを認めた。 2)ラットミクログリアP2X受容体電流の記録 ホールセルパッチクランプ法を用いてアデノシン3リン酸(ATP)により誘起する電流を記録した。ATPはU-チューブシステムを用いて投与した。主にameboid型のミクログリアで行い、2つのタイプのATP誘起電流を認めた。1つは低濃度のATP(100μM付近)で活性化し、脱感作される電流で、P2X7以外のP2X受容体と考えられている。もう1つは高濃度ATP(1mM付近)で活性化され、脱感作しない電流で、Bz-ATPでより強く活性化され、oxidized-ATPでブロックされたことからも、P2X7受容体と考えられた。これらの結果は過去の報告にほぼ一致した。 3)P2X受容体に対する麻酔薬の作用 まずP2X7受容体に対する全身麻酔薬の作用を検討した。ハロタン、イソフルラン、セボフルランなどの吸入麻酔薬は3MACに相当する濃度でも影響はなかった。ケタミンでは臨床濃度より10倍以上高い濃度で、プロポフォール、チオペンタールでは臨床濃度より若干高い濃度で、増強を認めた。エタノールでも増強を認めた。ミクログリアのP2X7受容体はサイトカインの分泌、アポトシス、cytotoxicityなどに関係があるとされており、静脈麻酔薬はこれらの機能に影響を及ばす可能性が示唆された。 現在、もう1つのP2X受容体、そして代謝型のP2Y受容体への影響も検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ikeda Y, Nishikawa K, Ohashi K, Mori T, Asada A: "Epidural clonidine suppresses the baroreceptor-sympathetic response depending on isoflurane concentrations in cats"Anesthesia & Analgesia. 97・3. 748-754 (2003)