2004 Fiscal Year Annual Research Report
非炎症性侵襲下における腸管壁防御機構破綻の機序:炎症性侵襲との比較
Project/Area Number |
15790832
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 教人 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90327601)
|
Keywords | 低酸素侵襲 / 白血球 / 好中球エラスターゼ / 腸間膜透過性 / 血管内皮細胞障害 / HMGB-1 / myeloperoxidase |
Research Abstract |
本研究目的は、非炎症性侵襲である急性低酸素により惹起される腸間膜透過性亢進の機序に、内毒素血症などの炎症性侵襲と同様に炎症性細胞の活性化や血管内皮細胞障害が関与していることを明らかにすることにある。2年間にわたる本実験計画の2年目にあたる16年度は、すでに当研究室において確立された急性低酸素侵襲ウサギモデルを用いて、炎症性細胞の活性化の存在を詳細に検討した。急性低酸素侵襲モデルでは吸入酸素濃度を0.1とした対象群と、そのウサギモデルにシベレスタット(好中球エラスターゼ阻害薬)を10mg/kg投与後、10mg/kg/hrで持続投与し、4時間維持した群の2群を設定した。両群ともに安定した血行動態を維持した状態で、血液ガス分析上アシドーシスの指標:乳酸値に群間差は認めず、白血球数ならびにその化学発光による活性酸素生成能にも群間差を認めなかった。白血球数に関しては、白血球分画を測定した上で、好中球数の再評価をする予定としている。腸管壁透過性亢進の指標:permeability(FITC標識デキストラン法)については、両群ともに亢進しているが群間差を認めることはできなかった。また、白血球の腸管壁粘膜への浸潤度を評価するため測定した腸管壁myeloperoxidaseも群間差を認めなかった。現在、エラスターゼ活性ならびに炎症性サイトカイン(TNFα、HMGB-1)、腸管壁粘膜組織標本での白血球浸潤度の計測をしているところであるが、腸管壁透過性亢進には必ずしも炎症性細胞浸潤を伴う必要がないことが明らかとなった。
|