2005 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類精子受精能獲得過程を調節するリン酸化タンパク質の網羅的解析
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15790860
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
藤ノ木 政勝 獨協医科大学, 医学部, 助手 (30316583)
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Keywords | 精子 / 受精能獲得 / タンパク質リン酸化 / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
一昨年度、昨年度と行なってきた新規リン酸化タンパク質の検出において見いだされた受精能獲得過程の初期に脱リン酸化される75kDaタンパク質についてさらに解析を進めた。その結果、75kDaタンパク質の脱リン酸化はアルブミン依存的であることが分かった。アルブミンは受精能獲得において必須の成分である事から、75kDaタンパク質の脱リン酸化は受精能獲得と密接な関係にあると推測された。また、この脱リン酸化は受精能獲得開始から20分経った所ではまだ起こっておらず30分経った所では起こっていた。この頃の精子の状態としては複数の精子が頭部をくっつけて団子状態になる時期でありこの現象はアルブミン依存的であることから、この75kDaタンパク質は膜に存在し脱リン酸化されることで精子同士の結合に何らかの関係があると予想された。しかし、Triton可溶化分画にはこの75kDaタンパク質は含まれないことから、75kDaタンパク質は膜タンパク質ではないと結論づけられ、他様々な検討の結果として外側粗大繊維もしくはミトコンドリア鞘に含まれるタンパク質である可能性が考えられた。従って、75kDaタンパク質は頭部に局在する可能性が低い事から精子同士の頭部での結合には関係ないと結論づけた。さらに、この75kDaタンパク質の脱リン酸化に関わる酵素の検討を行なった。受精能獲得に関与する脱リン酸化酵素としてはtype1/2Aフォスタファーゼが知られているのでその阻害剤を用いて検討した所、type1/2Aフォスタファーゼの阻害により有意に受精能獲得が促進されたが75kDaタンパク質の脱リン酸は抑えられなかったことから、75kDaタンパク質の脱リン酸化はtype1/2Aフォスタファーゼによる脱リン酸化ではないと結論づけられた。現在type2Bフォスタファーゼ(カルシニューリン)との関連について調べている。
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Research Products
(1 results)