2004 Fiscal Year Annual Research Report
受精過程における卵細胞質内での精子の役割、特に精子中心体の機能に関する研究
Project/Area Number |
15790873
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 聡一 東北大学, 病院, 助手 (00343054)
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Keywords | 精子 / 機能評価 / 精子中心体 / 顕微受精 / 受精 / Dithiothreitol / paclitaxel |
Research Abstract |
我々はウシ卵にヒト精子を顕微授精することで、ヒト受精における精子の卵細胞質内侵入後の重要な機能の一つである精子中心体機能、すなわち精子中心体からの微小管形成能を評価し、未だ未解明な受精障害とその微小管形成能や中心体蛋白の発現異常との関連につき検討を行った。なお本研究は当院倫理委員会の承認を得て行った。 まず、妊よう性のあるドナーから運動良好かつ正常形態の精子を採取しウシ卵へ顕微授精を施行して微小管形成について観察したところ82.6%の卵に微小管の形成が認められ卵の活性化、雌雄前核の形成も認められた。同様に妊よう性のあるドナーの死滅精子を用いたところ、精子中心体からの微小管形成、雄性前核の形成、卵の活性化は全く認められなかった。そこで精子中心体機能を補完する目的でDithiothreitol(DTT)による顕微授精前の精子処理と微小管重合促進剤であるpaclitaxelを顕微授精後のウシ卵に作用させ微小管形成を検討した。ヒト死滅精子にDTT処理paclitaxel処理を併せて行ったところ、精子中心体からの微小管形成、雌雄前核の形成を70.1%の卵に認め有意に中心体機能は改善された。そこで本法を不妊を呈する奇形精子症で、精子中心体機能不全を有するDysplasia of the Fibrous Sheath(DFS)に応用したところ、精子からの微小管形成が認められた卵は7.7%と改善は認められなかった。このことからDFSは死滅精子よりも精子中心体機能が高度に障害されていることが示唆された。 また、中心体蛋白の一つであるCentrinの発現は妊よう性のあるDonor精子では100%発現がみられたが、DFSではわずか2%しか発現を認めず中心体機能障害の一因と考えられた。 これらの手法により精子中心体機能障害の程度が把握され、新しい精子機能評価法になり得ると考えられた。
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Research Products
(4 results)