2004 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠中毒症、子宮内胎児発育遅延、不育症におけるナチュラルキラー細胞の病理学的意義
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15790878
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 隆博 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90313147)
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Keywords | 不育症 / ナチュラルキラー細胞 / KIR |
Research Abstract |
初めに、今回習慣流産患者夫婦および健常者からinformed consentの上DNAを抽出し、そのゲノムを解析することは、東京大学ヒトゲノム倫理審査委員会で承認されている(承認番号633)。 昨年原因不明習慣流産患者夫婦58組、妻のみ4人、そして対照として健常人100人から同意の上採血しDNAを抽出したが、その後新たに外来で原因不明習慣流産とされた患者夫婦12組からも同意を得てDNAを抽出した。 これらのDNAについて、NK細胞受容体の一つであるKIR(Killer Cell Immunoglobulin-like Receptors)について、PCR-SSP(sequence-specific primers)法でtypingを行った。KIRは大きく分類してAタイプとBタイプのハプロタイプが存在し、昨年習慣流産患者の夫ではBタイプのハプロタイプの頻度が高いことが分かった。さらに遺伝子の頻度に有意差がないか分析したところ、活性型Natural Killer細胞(NK)受容体2DS2、及び連鎖不平衡の関係にある抑制型2DL2においてcontrolと習慣流産妻の間で2×2 testにて有意差を認める(p=0.0239)ことが分かった。活性型の遺伝子の一つと、抑制型の遺伝子の一つが共に習慣流産患者に多い意味を分析するため、これら2つのKIR遺伝子と結合するHLA-Cに注目した。HLA-Cは当初胎盤絨毛には発現していないと思われていたが、その後弱く発現しており、しかもKIRのligandであることが示され、その妊娠免疫における役割が注目されている。 HLA-CのtypingをPCR-microtitre plate hybridization(MPH)を用いて行った。HLA-Cはアミノ酸のposition77-80でC1とC2の2つのタイプに分類される。2DS2も2DL2も、共にC1タイプのHLA-Cがligandである。今回の検討では習慣流産患者もコントロールも、ともにC1タイプが95%を占め、有意差は認められなかった。
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