2004 Fiscal Year Annual Research Report
BRCA1、2の臓器特異性発癌に関する研究-なぜ乳房と卵巣だけが癌化するか-
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15790879
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関根 正幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (70345502)
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Keywords | 家族性卵巣癌 / BRCA1、2 / 婦人科腫瘍学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
これまでに家族性卵巣癌の原因遺伝子領域を罹患同胞対解析にて3p22-p25に限定し、続く相関解析にて同領域から候補遺伝子の選定を行っている。第3度近親者内に上皮性卵巣癌患者を2名以上含む家系を卵巣癌家系、第3度近親者内に乳癌・卵巣癌患者を含まない患者を散発性患者と定義し、インフォームドコンセントを得た後、血液よりDNA、手術時摘出癌組織よりDNA、RNAを抽出。直接シーケンス法によりBRCA1,2の変異解析を行い、卵巣癌家系をBRCA変異群、BRCA変異なし群の2群に、さらに散発性群を加え3群に分類し、BRCA変異なし群110人、健常女性170人を対象にマイクロサテライトマーカーに加えSNPマーカーを用いた相関解析を行ったところ、RAD18、FANCD2、CTNNB1遺伝子に加え、PDCD6IP、TGFBR2遺伝子において有意な相関を認めた。そこで、BRCA変異群3例、BRCA変異なし群3例、散発性群3例を対象に、上記5遺伝子について腫瘍組織でのmRNA発現量をreal-time PCRにより解析した。その結果、PDCD6IPでは、変異群で2.81±1.81、変異なし群で1.73±1.03、散発性群で1.72±0.82と、BRCA変異群では他の2群に比べ発現が高い傾向が、またCTNNB1では変異群で0.95±0.19、変異なし群で1.98±1.21、散発性群で1.65±0.45と、BRCA変異群では他の2群に比べ約1/2と発現が低い傾向が認められた。一方、FANCD2では変異群で0.82±0.30、変異なし群で0.74±0.56、散発性群で0.80±0.72、RAD18では変異群で1.11±0.15、変異なし群で1.66±1.47、散発性群で1.27±0.97、TGFBR2では変異群で1.66±0.44、変異なし群で1.74±1.37、散発性群で1.94±0.84、とほぼ同等の発現量を示していた。以上より、PDCD6IPおよびCTNNB1がBRCA変異群における卵巣癌発症に関し特異的に関与する可能性が示唆された。今後さらに症例数を追加し、蛋白の発現状況を免疫染色法にて確認することにより、乳癌卵巣癌の発症に特異的に関与する遺伝子の同定を目指す方針である。
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