2004 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌の腹膜転移形成における細胞膜型アミノペプチダーゼの役割と遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
15790885
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶山 広明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00345886)
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Keywords | 卵巣癌 / DPPIV / CD26 / 腹膜播種 / 転移浸潤 / 抗がん剤 |
Research Abstract |
以前の研究においてCD26の遺伝子導入細胞は親細胞やmock細胞と比較してヌードマウスにおいて腹膜播種が減少し、その作用機序としてEカドヘリン-βカテニンシステムの亢進とマトリックスメタロプロテアーゼ系の転移促進酵素が減弱していることを見出した。今年度は卵巣癌細胞におけるCD26の抗癌剤感受性に与える影響について検討した。われわれの施設ではCD26の発現レベルがさまざまな8種類の卵巣癌細胞株を有している。それらのCD26発現レベルとMTTアッセイにおける、パクリタキセル(PAC)感受性レベル(IC50値)の比較検討を行ったところ、CD26の発現と細胞のIC50値は正の相関にあった。さらに低CD26発現であるSKOV-3にCD26遺伝子を過剰発現させた株では、感受性がコントロール(mock)と比較してパクリタキセル感受性が亢進した。この感受性の増加を細胞周期において検討したところ、CD26過剰発現株ではmockに比較してG2/M期の割合が有意に増加していた。これはCD26の発現がG2/M arrestを誘導したことを意味した。またこれらの感受性上昇がアポトーシスの増加によるということが、Annexin-VアッセイやBAX, BAD,およびBc1-2などのアポトーシス関連蛋白の発現レベルの変化を通して示された。さらに、ヌードマウスの皮下にCD26過剰発現株あるいはコントロール細胞(mock)を移植し腫瘍を形成させた後にPACを腹腔内投与するという系を作成した。PAC非投与下においては両群の腫瘍形成に有意差を認めなかったが、PAC投与下においてはmock群に比較してCD26群では有意に皮下腫瘍形成が抑制されin vivoのレベルでの抗癌剤に対する感受性の増強が示唆された。
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Research Products
(2 results)