2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法を用いた胎盤増殖・抑制因子の解明及び子宮内胎児発育遅延病態の解析
Project/Area Number |
15790901
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴森 伸宏 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70326148)
|
Keywords | 分子生物学 / 胎盤 / 増殖・抑制因子 / 子宮内胎児発育遅延 / 胎児異常 / ELISA / 出生前診断 / 胎児血 |
Research Abstract |
本研究は名古屋市立大学大学院ヒトゲノム倫理委員会へ申請し、平成15年12月に承認を得ている。充分なインフォームドコンセントののち、経膣または帝王切開分娩後の胎盤絨毛検体、母体血、臍帯血を、現在までに約70症例を対象としてサンプルを管理している。昨年に引き続き、クローンテック社のcDNA subtractionキットを用いて、胎盤増殖・抑制因子に関係すると思われる遺伝子を検索しているが、有意に発現を認めるクローンが見つからなかった。このためNCBI(National Center for Biotechnology Information) homepageで、ヒトの子宮内胎児発育遅延症例に有意に発現を認めるクローンを検索したところ、Adiponectin、ENA-78などの血管増殖因子が有意に発現の増強あるいは滅弱を認める可能性がわかってきている。 また、現時点において、子宮内胎児発育遅延症例21例、妊娠中毒症合併子宮内胎児発育遅延症例12例、妊娠中毒症症例10例、正常妊娠症例25例で、分娩時に臍帯より胎児血を採取し、血清分離してフリーザーに保存している。それらのサンプルを用いて、現在、胎児血清中のAdiponectin、ENA-78などの血管増殖因子の濃度をELISAで解析している。臍帯血は子宮内胎児の状態や環境を反映しており、子宮内胎児発育遅延の病態を解析するのに適切であると考えられており、近年、インヒビンなどが子宮内胎児発育に深く関係することが報告されている。胎児血清において有意に子宮内胎児発育遅延病態症例で上昇あるいは下降している物質が見つかった場合、それに対する抗体を用いて、免疫組織染色法やWestern blot法にて胎盤における局在や発現パターンを解析する方針である。今後、子宮内胎児発育遅延病態症例に関係する因子が発見出来れば、子宮内の胎児-胎盤発育に関与している可能性が示唆される。 我々はこれからも子宮内胎児発育遅延症例、妊娠中毒症合併子宮内胎児発育遅延症例、妊娠中毒症症例から検体をサンプリングして、今後、更に症例数を増やして、胎児-胎盤発育や妊娠中毒症に関する因子について分子生物学的に解析する方針である。本研究の更なる発展により、子宮内胎児発育遅延や妊娠中毒症の病態のみならず、その診断や治療に結びついていくものと信じている。
|
Research Products
(1 results)