2003 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌におけるセンチネルリンパ節の機能とその臨床的因子としての検討
Project/Area Number |
15790921
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
櫻井 努 群馬大学, 医学部, 助手 (40334099)
|
Keywords | 頭頸部癌 / センチネルリンパ節 / 抗原提示細胞 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
口腔癌を有する患者のうちセンチネルリンパ節(Sentinel lymph node : SLN)検出手術に関する同意を得た患者を対象に、放射線同位元素を用いた方法によってSLNの同定を試みた。 これまで13例においてSLN同定を試み、うち12例(92.3%)において同定が可能であった。現在まで悪性黒色腫や乳癌に比べると頭頸部癌におけるSLNの報告はまだ少なく、その有用性については現在論文投稿中である。 同定されたSLNの癌転移の有無をH&E染色によって調べた後、転移を認めないSLNの機能を免疫組織化学的手法により解析した。更に転移を認めないnon-SLNについても同様の解析を行いSLNとnon-SLNの相違を調べた。 一般に生体の免疫応答は局所でなく所属リンパ節で誘導されていると言われている。すなわち所属リンパ節は抗原特異的T細胞の活性化される部位であり、その免疫学的機能を評価するのに抗原提示細胞である樹状細胞(S-100,CD1a,CD83)及びT細胞(CD45RO)、NK細胞(CD57)についてその浸潤の程度を調べた。これまでそれぞれ20個のリンパ節に対して免疫染色を行い各細胞の浸潤程度を評価したところ、SLNではnon-SLNに比べて樹状細胞(S-100+,CD1a+)の浸潤の程度が高い傾向があった。しかしながら樹状細胞の成熟度のマーカーであるCD83については差異を認めなかった。さらにCD45RO+およびCD57+については両者で差はなかった。樹状細胞の浸潤の程度がSLNで優先的に活性化が起こっていることを示唆するのかどうかは現時点では不明である。今回の解析では腫瘍の転移しているSLNは対象から外したが、腫瘍の転移の無いSLNについてもpN+とpN-の症例間では免疫機能の違いが存在するかもしれない。今後は更に症例(解析リンパ節数)を増やして検討を続ける予定である。
|