2003 Fiscal Year Annual Research Report
ペンドレット症候群の難聴発症機序に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15790932
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 栄祐 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20359748)
|
Keywords | ペンドレット症候群 / ベンドリン / SLC26A4 |
Research Abstract |
はじめに ペンドレッド症候群は常染色体劣性遺伝で難聴・甲状腺腫を特徴とする。その原因遺伝子であるPDS遺伝子(SLC26A4)は膜貫通蛋白ペンドリンをコードしており、内耳・甲状腺・腎などで発現を認められている。ペンドリンの内耳での機能をみるため、内耳におけるペンドリンの局在を調べた。 方法 我々はヒトペンドリンに対するウサギポリクローナル抗体を作製した。作製した抗体の特異的反応を見るため、ヒトの甲状腺組織(正常、バセドー病)・マウス内耳・甲状腺・腎臓にてウエスタンブロット法を行った。さらにマウス内耳にて同抗体にて免疫組織染色をおこなった。 結果 ヒト甲状腺組織のウエスタンブロット法にて110kDa〜115kDaにバンドを認めた。またマウスの内耳、甲状腺、腎のウエスタンブロット法にても同じ110kDa〜115kDaにバンドを認めた。またマウス内耳の免疫組織染色にて内リンパ管および嚢の内腔側の膜上にペンドリンの発現を認めた。また卵形嚢、球形嚢、蝸牛血管条辺縁、Hensen's Claudius cells、ラセン神経節でもペンドリンの発現を認めた。 考察 ペンドリンは電解質輸送に関与していると考えられ、腎ではCl^-/HCO_3^-輸送に関与しているという報告がある。今回発現を内耳にて認めた内リンパ管および嚢、Hensen's Clausius cells、蝸牛血管条は内リンパ液の産生、吸収に関与してその恒常性を維持していると考えられており、そこでペンドリンの発現を認めたことは、ペンドリンが内リンパ液の産生、吸収に関与していることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 吉野貴彦, 佐藤栄祐, 寺西正明, 中島務: "マウスにおける免疫染色による内耳でのPendrinの局在"Otology Japan. 13(4). 442 (2003)