2004 Fiscal Year Annual Research Report
滲出性中耳炎における自然免疫による病原体認識・防御機構の解明
Project/Area Number |
15790944
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平野 隆 大分大学, 医学部, 助手 (20305056)
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Keywords | Toll-like receptor / cytokine / chemochine / Haemophiluls influenzae / otitis media |
Research Abstract |
1)TLR4欠損マウスC3H/HeJとその野生マウスC3H/HeNを用いたTLR4における急性中耳炎での炎症制御に関する研究 インフルエンザ菌を用いて上記各種のマウスに中耳炎を惹起した後に6、12、24、48、72時間後に中耳貯留液および中耳組織を採取し、中耳貯留液中のケモカインやサイトカイン(MIP-2,KC,IL-1b,TNF-a)を測定し、中耳組織のTLR2およびTLR4の蛍光染色後、共焦点レーザー顕微鏡下に観察し、組織中のmRNAを抽出し、IL-1bおよびTNF-a定量RT-PCRを施行し、炎症と各種メデイエターとの関連を調べた。C3H/HeJおよびC3H/HeNマウスにおいて、MIP-2,KC,IL-1b,TNF-a共に炎症に応じて増加し、C3H/HeNマウスでは24時間経過後に各種メデイエーターは低下するのに対して、C3H/HeJマウスでは72時間経過しても各種メデイエーターは増加した。C3H/HeJマウスではTLR2およびTLR4の表出が共に低下し、定量RT-PCRにて炎症性サイトカインのmRNAの表出が低値であった。以上より考察すると、TLR4がグラム陰性菌における好中球の貪食能を主体とした自然免疫に対して重要な働きを持っていると思われる。 2)TLR4欠損マウスC3H/HeJとその野生マウスC3H/HeNを角いたTLR4における獲得免疫に関する研究 鼻粘膜局所における2次免疫応答におけるTLR4の関連を調べるため、C3H/HeJマウスとC3H/HeNマウスを用いて、インフルエンザ菌由来の外膜蛋白(OMP)をコレラトキシンと共に計3回経鼻投与を行い、局所および全身獲得免疫応答について検討した。経鼻投与は1週ごとに施行し、各週毎にサンプルを採取した。各マウスよりNALT、頚部リンパ節、脾臓を採取し、経鼻投与後のリンパ組織の組織学的変化について検討をおこない、また、鼻腔洗浄液および血清中のOMP特異的抗体価をELISAにて測定し、鼻粘膜、NALT、頚部リンパ節、脾臓中のOMP特異的抗体産生細胞数をELISPOT法にて調べた。次に、各リンパ組織においてflow cytometryにより、Th1/Th2のprofileや、樹状細胞の分布について検討し、また、経鼻投与後のサイトカインのmRNAの表出について、RT-RCRを用いそ検討した。TLR4は獲得免疫応答に直接的でなく、間接的な関与を認めていると推測され、その機序としては、樹状細胞からのTh1誘導作用の低下に伴って、獲得免疫の調整の相違が認められるものと推測された。
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