2003 Fiscal Year Annual Research Report
下咽頭がんにおける癌関連遺伝子および局所histiocyteの発現と予後との関連
Project/Area Number |
15790966
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
富田 和英 久留米大学, 医学部, 助手 (50289485)
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Keywords | 下咽頭癌 / 扁平上皮癌 / 増殖因子 / PCNA / p21 / S-100蛋白 / CD1a / CD83 |
Research Abstract |
久留米大学付属病院耳鼻咽喉科で過去7年間に入院加療を行った下咽頭初回治療患者は約170名であったが、その中で根治的治療が行われたのは145名で、他の患者は年齢や合併症などのため、姑息的治療がなされていた。治療は手術・放射線が中心であり、初回治療として咽喉頭摘出術が行われた54例を今回の研究対象にした。摘出後の臓器は全例ホルマリン固定し、脱灰後がんの浸潤様式を観察するために大切片標本を作製した。臓器の保存状態が良好で、下咽頭癌の病理組織型、分化度、リンパ管浸潤などの検討が可能であった45例(男性39、女性6、平均年齢67歳)の検討を開始した。病理組織型は全例扁平上皮癌で、対象症例を詳細に分類すると、亜部位:梨状陥凹型34、輪状後部型9、後壁型2;病理組織分化度:高分化15、中分化28、低分化2;原発部位T1-2:4,T3:17,T4:24;リンパ節転移NO:10,N1:2,N2:28,N3:5;病期I:0,II:4,III:17,IV:24であった。現時点での生存者は30名(67%)である。これらの症例の大切片から、癌占拠部の辺縁部の組織を再度切り出し、好銀染色によるAgNORの算定や免疫組織染色による各種の増殖因子(PCNA,p21)の発現や生体反応(S-100,CD1a,CD83によるdendrite分布)を観察している。これまでの結果では、予後とp21発現度やS-100蛋白陽性細胞の発現に有意な相関を認めている。今後他の因子の発現と種々の臨床的因子の関連を検討していく予定である。
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