2003 Fiscal Year Annual Research Report
瀘過胞結膜穿孔に対する自己結膜組織培養シートの有効性の検討
Project/Area Number |
15790976
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 寛 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60332615)
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Keywords | 緑内障 / 結膜穿孔 / 結膜培養シート |
Research Abstract |
近年線維柱帯切除術はマイトマイシンCなどの代謝括抗薬の併用により手術成績が飛躍的に向上したが、術後長期経過してから手術部位に難治性の結膜穿孔が生じることにより細菌感染といった重篤な合併症が増加することが判明し、その対策が急務とされている。 本研究においては生体適合性を有するシートを介在させ臨床応用可能な強度を持たせた結膜培養シートめ作成を行うことを目的とした。 ヒト培養結膜シートの作成:結膜下実質組織を細胞培養用Dishに播種し、結膜下線維芽細胞を一次培養し、トリプシン/EDTA溶液で細胞を剥離した後、I型コラーゲンゲル中に包埋培養を行った。その後、ゲル上にキチンシート、またはバイクリルメッシュシートを置き、I型コラーゲンでコートし、結膜下繊維芽細胞層のモデルを作成した。人正常結膜片をDispaseII 37℃二時間インキュベートし、ピペッティングを行い、線維芽細胞が混在しないように結膜上皮層を採取した。その後結膜下線維芽細胞層モデルおよび羊膜上に結膜上皮細胞を播種し、各種の培地で結膜上皮の培養を試みた。その結果、結膜上皮の培養は培養面が平坦でなければ培養シートの作成が困難であり、作成した線維芽細胞層モデルでは、結膜上皮細胞をキチンシート、バイクリルメッシュをゲル中に完全包埋させる必要があり、この場合最上層のコラーゲンゲルに構造的脆弱性と厚みが問題として浮上した。更にキチンシートは加水分解を受け、脆弱化していた。羊膜上での培養は結膜上皮の増殖が、3T3 cellと共培養の条件で成功した。バイクリルメッシュシートおよび羊膜はその形態を保持できていたが、前者はその厚み、柔軟性に欠ける事が臨床応用に際して問題点と考えられた。一方羊膜はそれらの問題をクリアーでき、有用なマテリアルとなりうる可能性が示唆された。
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