2003 Fiscal Year Annual Research Report
上斜筋麻痺における眼窩制御靭帯(眼窩プリー)の機能解析の研究
Project/Area Number |
15790990
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河野 玲華 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40301296)
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Keywords | 上斜筋麻痺 / pulley / 外眼筋 / 磁気共鳴撮像法 / 斜視 / 眼球運動 |
Research Abstract |
むき眼位で眼窩pulleyの位置が変化する現象(gaze-related orbital pulley shift,以下GROPSと略)やpulleyの位置異常が非共同性斜視の原因となることが高解像度MRIで明らかにされてきた。このような背景からこの研究は、pulley、および上・下斜筋を含む全ての外眼筋の画像を解析し、上斜筋麻痺のむき眼位における眼位異常(患眼内転時の上転)にGROPSやpulleyの位置異常が関与するという仮説を立て,これを検証することを目的とする。本年度は、日本人の正常被験者を対象に基準となる外眼筋およびpulleyのデータを収集するとともに、上斜筋麻痺を中心とした非共同性斜視のMRI撮像をおこなった。 上斜筋麻痺と臨床診断した症例を対象に、Hess赤緑試験の眼位図のパターンと、その症例のMRI画像解析から得られたpulleyの位置のパラメーターを用いてOrbit^<TM>でシュミレーションした眼位図のパターンを比較した。MRI画像解析から上斜筋萎縮を認めず(断面積右11.6mm^2、左13.2mm^2)、患側上斜筋の収縮性にも明らかな異常が認めなかった1症例の4直筋の位置を正常者と比較したところ、両眼・上直筋は外方、右眼・外直筋は下方へ偏位し、外眼筋の位置異常を認めた。本症例のHess赤緑試験の眼位図は、シュミレーションで得られた上斜筋麻痺の眼位図よりもpulleyの位置異常の眼位図のパターンに類似していた。MRI画像解析とシュミレーションから得られた結果から、本症例はpulleyの位置異常による偽上斜筋麻痺と考えられる。今後、症例を増やすとともに、上斜筋欠損例についても検討する予定である。
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