2004 Fiscal Year Annual Research Report
上斜筋麻痺における眼窩制御靭帯(眼窩プリー)の機能解析の研究
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15790990
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河野 玲華 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40301296)
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Keywords | 上斜筋麻痺 / pulley / 外眼筋 / 磁気共鳴撮像法(MRI) / 眼球運動 |
Research Abstract |
むき眼位で眼窩プリーの位置が変化する現象(GROPS)やプリーの位置異常が非共同性斜視の原因となることが高解像度MRIで明らかにされてきた。このような背景からこの研究は、プリー、および上・下斜筋を含む全ての外眼筋の画像を解析し、上斜筋麻痺のむき眼位における眼位異常(患眼内転時の上転)にGROPSやプリーの位置異常が関与するという仮説を立て,これを検証することを目的とする。本年度は、上斜筋麻痺を中心とした非共同性斜視のプリーの位置異常の有無を調べた。 先天性あるいは特発性上斜筋麻痺と臨床診断され、片側の上斜筋筋腹に萎縮を認める5例(年齢17-46歳)を対象に、2-mmスライス厚で眼窩MRI冠状断を撮像し、眼球中心から約9mm後方の4直筋のプリー位置を画像解析し、患側、健側の4直筋のプリーの位置を正常者12例(年齢21-33歳)のそれと比較した。患側では、内直筋、下直筋の位置は正常範囲内(正常平均値+-2SD以内)であったが、外直筋プリーの位置が正常者の2SDをこえて下方へ偏位し、上直筋プリーの位置は耳側偏位する傾向が認められた。健側では、外直筋プリーの位置は下方へ偏位の傾向があるものの、他の3直筋プリーの位置は正常範囲内であった。以上より、上斜筋麻痺では限局的にプリー構造の異常がある可能性が示唆される。今後、上斜筋麻痺と臨床診断されたにもかかわらず上斜筋筋腹の萎縮を認めない症例や斜視手術前後のプリーの位置変化についても調べる予定である。 プリー位置の外眼筋手術による影響を知るために、full macular translocation後の内方回旋斜視に対する下斜筋前転術を施行された症例の4直筋プリーの位置を同様に調べた。患側の上直筋プリーは耳側へ、外直筋プリーは下方へ、正常者の2SDをこえて偏位していた。外眼筋の手術移動量が大きい場合、プリーの位置は変化することが確認された。
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