2004 Fiscal Year Annual Research Report
変性網膜における神経ステロイドの機能解明への組織化学的アプローチ
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15791004
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (30315931)
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Keywords | 正常網膜 / 神経ステロイド / 免疫組織化学 / RT-PCR / 3α-hydroxysteroid dehydrogenase / 5α-reductase |
Research Abstract |
変性網膜における神経ステロイドの機能解明への組織化学的アプローチとして、成熟ラットの正常網膜での神経ステロイド合成・代謝に関する酵素である、3α-hydroxysteroid dehydrogerase(3α-HSD)の局在を、免疫組織化学およびin situ hybridizationなどの手法を用いて形態学的に検索し、タンパク、mRNAともにミュラー細胞に発現することを明らかにした。さらに3α-HSDと共にステロイドの合成・代謝に関連する酵素である5α-reductaseが正常網膜に同様に存在することがRT-PCRにより明らかになり、網膜においてこれら両酵素による神経ステロイドの合成が行われ、ミュラー細胞がその働きに関与していることが示唆された。 神経ステロイドは、神経系において細胞の分化に対する作用も報告されている。そこで、網膜におけるグリア細胞であるミュラー細胞とその周囲の神経細胞の分化・発達過程における、神経ステロイド合成・代謝酵素の発現の変化とその局在について、生後1〜14日のmRNAの発現をRT-PCRにより検索した。その結果、3α-HSD,5α-reductaseともに、生後1日からmRNAの発現が認められた。生後1日の3α-HSDの局在を免疫組織化学を用いて形態学的に検索したところ、網膜最内層付近に免疫陽性反応が観察された。 これらの結果から、神経ステロイド合成・代謝酵素3α-HSD,5α-reductaseと産生される神経ステロイドが未成熟な網膜において細胞の分化・発達に関与していることが示唆された。
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