2003 Fiscal Year Annual Research Report
キトサンおよび合成ペプチドを用いた表皮細胞組込み型創傷被覆材の開発
Project/Area Number |
15791028
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
池本 繁弘 北里大学, 医学部, 助手 (90296492)
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Keywords | ラミニンペプチド / 培養ヒト表皮細胞 / キトサン / キャリア / 創傷被覆材 / ヌードマウス / シンデカン |
Research Abstract |
1.培養表皮細胞と合成ペプチドとの接着活性の評価 基底膜は表皮細胞の生理的条件での基質であることが知られている。そこで、先ず基底膜の主要成分のラミニンに焦点を絞り、ラミニン由来の種々の細胞接着活性ペプチドと表皮細胞との接着性について、in vitroの細胞接着アッセイ系で検討した。ラミニン分子上にはすでに,30種類以上の細胞接着活性ペプチド配列が報告されている(Makinoら1999)ので、その報告にもとづき、種々のペプチド(AG-73,IKVAV,RGD,YIGSRなど)を合成し、プラスチックディッシュ上に固層としたのち培養ヒト表皮細胞を播種し、両者間の接着性を評価した。これらの実験に際しては、細胞培養に通常用いられる牛胎児血清中のフィブロネクチンなど既知の細胞接着因子の関与を除外するため、無血清の条件とした。同アッセイ系においてAG-73ペプチドが培養表皮細胞に対して最も高い接着性を示すことを確認した。 また、ヒト正常表皮、ヒト培養表皮細胞においてAG-73ペプチドのリガンドであるシンデカンの発現を免疫組織学的に確認した。 2.被覆材の作成 被覆材のベースにはキチン・キトサンを用いた。キチン・キトサンは、1)キチン単独の膜として、創傷被覆材としての臨床実績があり、2)ペプチド等を化学的に結合させる方法が確立しており、3)膜状、繊維状等種々の形状が容易に形成可能という利点を持っている。さらに海産甲殻類から抽出される高分子であるので材料による感染の危険性は無視できうると考えられた。キチン・キトサンはクロロアセチル化し、上述のアッセイで強い接着を示したAG-73ペプチドと共有結合させ、シート状に造型した被覆材とした。これに培養表皮細胞を接着させて表皮細胞組込み型創傷被覆材を作製した。クロロアセチル化の程度、播種する細胞数、接着に要する時間等について様々な条件で検討し、最も効率良く表皮細胞を組み込む条件を決定した。
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