2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌の宿主細胞内侵入と歯周組織破壊機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
15791040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 一路 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70294113)
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Keywords | 歯周病 / P.gingivalis / RANKL / AP-1 |
Research Abstract |
歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalisは骨の破壊に関与していることが明らかとされている.この骨吸収にはP.gingivalisの産生する種々の因子,特に内毒素であるリポ多糖による炎症性サイトカインの産生が重要であることが示されている.しかし,骨細胞にこれらの菌体から産生物が直接骨の破壊を誘導するのかについては検討されていない.本研究では,骨芽細胞にP.gingivalisが感染した場合の骨芽細胞の反応について解析を行った.骨芽細胞にP.gingivalisを感染させるとreceptor activator of nuclear factor kappaB ligand(RANKL)のmRNA発現が上昇した.炎症性サイトカインであるIL-6も同様に誘導されたが,オステオプロテグリン遺伝子の発現は認められなかった.P38の阻害剤であるSB230350,MEK1/2の阻害剤であるPD98059,PI3キナーゼの阻害剤であるウオルトマニンの添加ではRANKL遺伝子の発現は抑制できなかった.そこで,感染細胞でのNF-Kbの動態を解析したところ,その文化費亜認められなかった.しかし,AP-1阻害剤であるクルクミンの添加により,RANKL遺伝子の発現上昇は阻害された.そこで,AP-1活性化に関わるシグナル因子をさらに解析したところ,AP-1を構成するc-Junのリン酸化が認められ,さらにc-FosのAP-1認識配列に対する結合が認められた.P.gingivalisのもう一つの主要な病原因子であるアルギニン特異的プロテアーゼ,あるいはリシン特異的プロテアーゼの欠損株ではこのようなAP-1の活性化は認められなかったことから,骨破壊に関与するRANKLの発現は,P.gingivalisのプロテアーゼによるAP-1の活性化が必要であることが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)