2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791048
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
森崎 弘史 昭和大学, 歯学部, 助手 (30317581)
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Keywords | Actinobacillus actinomycetemcomitans / Cytolethal Distending Toxin |
Research Abstract |
本年度もActinobacillus actinomycetemcomitansの細胞膨化致死毒素(Cytolethal Distending Toxin;CDT)の作用機序を解明する目的で研究を行った。まず、CDT処理後の細胞(HeLa及びTIG-7)を細胞質と核に分画してプロテオーム解析を行ったところ、特に変化を示すスポットは得られなかった。次に、CDTの量を増加させて同様の解析をしようとしたところ、HeLaは低濃度のCDTでも死滅してしまうことが明らかとなった。このCDTの処理濃度と細胞種による生存率の違いを詳細に解析した結果を昭和歯学会雑誌に発表した。さらに、CDT処理後のTIG-7の生存にHeLaでは失活しているp53の機能が重要であることが示唆されたため、HeLaとTIG-7を用いてCDT処理後の細胞周期制御因子の変化を詳細に解析した。その結果、TIG-7ではChk2の活性化、p53の蓄積とp21の増加だけでなく、CDC2、cyclin B1やCDK2の減少が起こったのに対し、HeLaではChk2の活性化のみが観察された。このことから、CDTによるDNA傷害でTIG-7ではp53依存的なチェックポイント機構が活性化されるのに対し、HeLaは増殖停止が不完全で、DNAが傷害された状態のまま細胞周期が進行してしまうため、より早く死滅すると考えられた。この結果はOral Microbiology and Immunology誌に投稿中である。これらの解析と平行して前年度から引き続いてCDT結合タンパク質の検索を行った。本年度はCDT発現プラスミドを作成して、HeLaにトランスフェクションし、細胞内でCDTを発現させ、その細胞抽出液からCDT結合タンパク質の精製を試みたが、CDTと特異的に結合するタンパク質の存在は未だ確認されていない。今後さらなる条件検討等が必要と考えられる。
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