2003 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の分化・活性調節において、幼弱・成熟骨中の骨細胞が果たす役割に関する研究
Project/Area Number |
15791051
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
鈴木 礼子 朝日大学, 歯学部, 助手 (90333723)
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Keywords | 破骨細胞 / 破骨細胞の核数 / 骨細胞貪食 / 骨モデリング / 連続切片 |
Research Abstract |
破骨細胞の分化・活性調節において、幼弱・成熟骨中の骨細胞が果たす役割を解明するために、破骨細胞が骨基質を吸収する際に骨小腔から開放された骨細胞のうちの幾つかが破骨細胞によって貪食されることと、破骨細胞の核数が大きいほど細胞1個あたりの骨基質吸収量が増加するに着目し、まず幼弱骨において、破骨細胞による骨細胞貪食の頻度、および骨細胞を貪食する破骨細胞と貪食しない破骨細胞の細胞1個あたりの核数分布について検索した。試料として、モデリング中の幼弱ウサギ大腿骨骨幹部皮質骨の骨内膜部分の連続準超薄切片を用いた。観察した破骨細胞の32.7%を占めていた骨細胞を貪食する破骨細胞の核数の平均値は8.7、中央値は8、一方貪食しない破骨細胞の核数の平均恒は4.5、中央値は4で、骨細胞を貪食する破骨細胞の方が貪食しない破骨細胞よりも統計学的に有意に大きかった(p<0.01)。骨細胞を貪食しない破骨細胞には単核の細胞10.8%の頻度で観察されたが、骨細胞を貪食する破骨細胞には単核の細胞が観察されず、核数の最小値は2だった。骨細胞を貪食中の破骨細胞に、細胞融合像は観察されなかった。また、核数以外に、骨細胞を貪食する破骨細胞と貪食しない破骨細胞との間に形態学的な相違点は観察されなかった。これらの結果から、多核の破骨細胞はモデリング中の幼弱骨において骨細胞と遭遇した際にその骨細胞を貪食出来ることが明らかになり、核数の大きい破骨細胞の方が小さい破骨細胞よりも高い頻度で骨細胞を貪食する可能性が示唆された。しかし、破骨細胞が骨細胞を貪食する理由は未だ不明であり、破骨細胞と骨細胞が接触した際に破骨細胞に機能的変化が生じるのかどうかも不明である。更なる研究を遂行中である。
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