2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791056
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉澤 達也 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40313530)
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Keywords | 歯根膜 / 骨芽細胞 / 石灰化 / 靱帯 / 後縦靱帯骨化症 / Runx2 / 細胞分化 / Msx2 |
Research Abstract |
本研究では、歯根膜細胞株L2の特性と分化制御機構の一端を明らかにする目的で、以下の検討をした。 1 歯根膜細胞特異的遺伝子の単離 DNAアレイ法とプロテオミクスの手法により歯根膜細胞特異的遺伝子の取得を試みたところ、L2細胞において優位に発現が認められる数種の遺伝子を取得した。現在、取得した各遺伝子の機能を解析するため、アンチセンスRNAやsiRNAを用いて目的遺伝子の発現を恒常的に抑制させた細胞を作成している。 2 歯根膜細胞株L2から骨芽細胞への分化抑制機構の解析 L2細胞では骨芽細胞分化決定因子Runx2/Osf2が発現しており硬組織形成系細胞への分化能を有するが、通常は分化を抑制する機構が働いていることが示唆された。さらに、L2細胞には、Runx2の活性を積極的に抑制する機構が存在すること、この機構にホメオボックス転写因子Msx2が関与することを示した。Msx2は若い骨芽細胞の増殖を促進し、石灰化を抑制することが報告されている。そこで、Runx2に対するMsx2の効果を検討した結果、Msx2はRunx2と複合体を形成し、その転写活性を抑制することが明らかとなった。更に、L2においてMsx2の発現を恒常的に抑えたところ、硬組織形成系細胞への分化が顕著に誘導された。また、脂肪細胞への分化も認められた。更に、後縦靱帯骨化症(OPLL)の患者3例の正常靱帯部と骨化部のMsx2発現を比較したところ、骨化部では顕著にMsx2の発現が低下していることを明らかにした。以上から、Msx2は、Runx2の転写活性を抑えることにより、靭帯や腱の細胞の硬組織形成系細胞への分化を抑制する重要な因子として機能していると考えられた。 3 Msx2遺伝子発現調節機構の解析 Msx2遺伝子発現調節機構を解析する目的で、マウスMsx2プロモーター5.2kbを用いたルシフェラーゼアッセイを行った。現在、骨芽細胞の最終分化時に発現抑制される領域を詳細に検討している。
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Research Products
(1 results)