2003 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄グルタミン酸ホメオスタシス調節機構による疼痛制御-グルタミン酸トランスポーターの役割-
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15791060
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森岡 徳光 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20346505)
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Keywords | グルタミン酸トランスポーター / 痛覚過敏 / アロディニア / ミクログリア / 脊髄 / グルタミン酸取り込み |
Research Abstract |
脊髄グルタミン酸トランスポーターは痛覚伝達における中心的物質であるグルタミン酸の取り込みを担う機能タンパクであり、脊髄内グルタミン酸ホメオスタシスを維持するうえで重要な役割を担っている。一方でグルタミン酸による脊髄後角ニューロンの過度の神経興奮が痛覚過敏発症の原因となる可能性が報告されるなど、疼痛と脊髄内グルタミン酸ホメオスタシス制御異常との関連が示唆されている。しかしながら現在、グルタミン酸トランスポーターを中心とする代謝制御機構の痛覚感受性異常への関与については未だ不明な点が多い。 近年、痛覚感受性異常の発症において脊髄内ミクログリアの活性化が重要な要因となっていることが報告されている。そこで、ラット新生児より脊髄由来初代培養ミクログリアを作成し、これらを用いてグルタミン酸トランスポーターに関する検討を行い、以下の点を確認した。1)作成した脊髄由来初代培養ミクログリアは、ミクログリア特異的マーカーであるOX42に陽性であった。2)脊髄由来初代培養ミクログリアより抽出したtotal RNAを用いてRT-PCRを行った。その結果、EAAT1(GLAST)及びEAAT2(GLT-1)の発現を認めた。しかしながら、EAAT2の発現量は極めて少量であった。3)脊髄由来初代培養ミクログリアを用いてグルタミン酸取り込み能について検討を行った。グルタミン酸取り込み能は、非選択的グルタミン酸トランスポーター阻害薬であるL-trans-pyrrolidine-2-4-dicarboxylate(PDC)により濃度依存的に抑制されるが、選択的EAAT2阻害薬であるdihydrokainic acidによっては高濃度においてわずかに抑制されるのみであった。
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