2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌・放射線治療による晩期有害事象のリスクファクターの特定と予防管理システムの考案
Project/Area Number |
15791072
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
勝良 剛詞 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30283021)
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Keywords | 放射線骨壊死 / 放射線治療 / 歯科管理 / リスクファクター / 口腔乾燥症 |
Research Abstract |
1:放射線治療後の下顎骨合併症(以下、骨壊死)について 目的は放射線治療後の骨壊死と口腔環境との関係を明確にすることである。対象は放射線治療後3年以上歯科にて経過観察され、照射野に下顎骨と歯を含む症例とした。骨壊死はLENT scoreで定義し骨壊死群と、健常群に分けた。年齢、性、癌発生部位、癌治療法、治療線量、線源、歯周ポケット深さ(以下、PD)、口腔衛生状態(以下、PS)、感染と考えられる炎症症状の有無、エックス線学的歯周組織の状態(以下、DS)を統計学的に分析した。結果として治療線量が骨壊死群に有意に高く放射線治療前の口腔環境に差はなかった。しかし、放射線治療後2年以降ではPDは4mm以上、PSは40%以上、DS3が重要な危険因子となった。結論として、放射線治療後の骨壊死の予防策として口腔環境を危険値以下にするための歯周組織を中心とした歯科管理が重要であり、口腔環境の指標の中でエックス線検査が最も有用であった。加えて、DS3は放射線治療前の抜歯の適応であると考えられた。 2:放射線治療後の口腔乾燥症について 目的は放射線口腔乾燥症の改善にシェーグレン症候群の治療薬である塩酸セビメリン水和水(以下、セビメリン)の有効性を検討することである。対象は両側耳下腺に放射線を50-60Gy投入され慢性の口腔乾燥症状を持つ症例とし、90mgを4週間投与した。VAS scaleによる自覚症状とサクソンテストによる刺激唾液量を投与前と投与終了後で比較した。症例が少数であったので統計学的な検討は行わなかった。結果として自覚症状は平均41mm改善し、刺激唾液は2分間で平均0.024gの改善であった。結論として、あまり有意な改善は認められなかった。セビメリンは長期投与で有効であるとされているので今後は、本研究の結果をふまえ長期投与による検討が必要と考えられた。
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Research Products
(3 results)