2003 Fiscal Year Annual Research Report
他臓器疾患感染病巣における口腔由来細菌の関与解明の為の遺伝学的解析
Project/Area Number |
15791093
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田村 貴彦 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20323975)
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Keywords | 全身疾患 / 口腔細菌 / 16S rDNA / シークエンス解析 / PCR |
Research Abstract |
現在、高齢者の急増に伴い全身疾患を有する要介護者数が増えている。老人病院入院患者の直接死亡原因の半数は肺炎等の感染症によるものといわれ、その原因となる感染源として脳血管障害などにより嚥下障害や咳反射の低下した高齢者の場合では、口腔常在菌由来の歯性病巣感染であることが示唆されている。また口腔内に細菌感染のある慢性疾患が原因で関節炎や心内膜炎など身体の他部位に疾患を引き起こしうることが指摘されており、口腔を健全に保つ事の重要性が強調されるようになった。しかしながらこれまでの細菌学的手法では、これらの歯性病巣感染症に対して原病巣からいかなる機序によって二次疾患を発症するに至るのかなど含め、口腔内細菌の他臓器疾患感染病巣への関与について不明な点が多い。 本研究では、肺炎や心内膜炎等の他臓器疾患感染病巣から採取された口腔細菌類似菌と当該患者の口腔内細菌の16S ribosomal RNA gene (16SrDNA)について、シークエンス解析を中心とした分子遺伝学的手法を用いて遺伝学的類縁性を明らかにし、他臓器疾患感染病巣に対する口腔由来細菌の関与について研究を行ってきた。また、それら同定された細菌の分離部位や分離頻度等を比較検討することによりその細菌の病巣に対する特異性についても研究を続けている。 本年度は肺、心臓等の各臓器疾患病巣部位からと、歯周ポケット、歯垢等の口腔内各部位より臨床試料の採取を進めている。既報の細菌種の標準株を嫌気グローブボックスにて分離・培養を行い、DNAを抽出、精製を行っている。得られた半分のDNAをテンプレートとしてPCR法にて、各菌株の16SrDNAの増幅を行っている。
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