2003 Fiscal Year Annual Research Report
レジンからのpH応答性フッ素徐放制御システムの開発
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15791094
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仲保 聡 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40335617)
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Keywords | フッ素徐放性 / レジン / ドラッグデリバリーシステム / 二次う蝕 |
Research Abstract |
1 研究目的 本研究の目的は、修復後に発生する二次う蝕を効果的に抑制するために、修復物周囲のpHの変化に応答してフッ素徐放量が変化するようなフッ素徐放システムを開発することである。 2 本年度の研究実績 (1)高分子コーティングフッ化物の作製 シラン処理したフッ化物、ビニルモノマー、三級アミンを溶媒中に分散させ、真空中、60℃で2時間重合させた。その後、40℃で2日間乾燥させた。 (2)高分子コーティングフッ化物の構造解析 高分子コーティングしたフッ化物を数回水洗し、残存物の形態観察を行ったところ、内部のフッ化物が溶解したと思われる殻様の構造物が観察された。さらに、残存物の赤外吸収スペクトルを測定したところ、この残存物はビニルモノマーと三級アミンの共重合体であることが確認された。 (3)高分子コーティングフッ化物含有レジンからのフッ素徐放量の測定 高分子コーティングフッ化物をbis-GMA/TEGDMA系レジンに配合した試作レジンを作製し、様々なpHの緩衝液に浸漬し、フッ素徐放量の測定を行った。試作レジンは浸漬溶液のpHの低下に伴い多くのフッ素を徐放した。特に、pH5.5以下の条件では、pH7.0の時に比べて有意に多くのフッ素を徐放した。さらに、この試作レジンをpH7.0とpH5.0の溶液に繰り返し浸漬したところ、pH5.0に浸漬したときには多量のフッ素を徐放し、pH7.0に浸漬したときには急激に減少した。 以上のことから、レジンに配合するフッ化物をビニルモノマーと三級アミンの共重合体で被覆することで、pHが低下したときに多量のフッ素を徐放するフッ素徐放システムが開発できた。
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