2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄結石は高血糖下で誘導されるオステオポンチンにより形成促進される?
Project/Area Number |
15791100
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀部 ますみ 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50346615)
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Keywords | 歯髄結石 / オステオポンチン / 糖尿病 / 歯髄細胞 / 石灰化 / 骨基質蛋白 |
Research Abstract |
本研究では「高血糖状態が歯髄細胞のオステオポンチン産生を促し,その結果歯髄結石の形成が促進されるかどうか」を立証するためにin vitroでの実験を行った。培養細胞として高いアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を有するラット株化歯髄細胞RPC-C2A細胞を用い,培地中のグルコースの濃度を変えて培養を開始し,コンフルエント後5日まで細胞培養を行った。なお,グルコースの濃度は5,10,25,50mMとした。その結果、PCR法で解析したオステオポンチンmRNAの発現は3日後,5日後においてもグルコース添加による変動は認められなかった。しかしながら,オステオポンチンを蛋白レベルで解析すると,グルコース添加による影響が認められた。すなわち,RPC-C2A細胞を種々の濃度のグルコース存在下でサブコンフルエントになるまで培養し,培養上清中に分泌されたオステオポンチン蛋白をウェスタンプロット法で分析すると,オステオポンチンのバンドはグルコースの濃度に依存して増強された。さらに,同様の実験において,培地中のオステオポンチン蛋白量をRat Osteopontin測定キット-IBLによって定量すると,50 mMグルコース添加において1.4倍と統計学的に有意なオステオポンチンの増加が認められた。これらの結果から,グルコースはオステオポンチンの発現をmRNAレベルでは影響を及ぼすことなく,蛋白レベルで発現を促進することが明らかとなった。このことはmRNA転写翻訳後の反応(post-translational modification),例えばリン酸化や硫酸化などが促進された結果としてオステオポンチン蛋白が増加するのではないかと考えられた。(716字)
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