2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯周ポケット内に適用する徐放性の歯根面齲蝕予防剤の開発
Project/Area Number |
15791106
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
矢野 淳也 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (00347676)
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Keywords | 根面齲蝕 / 齲蝕予防 / 歯周ポケット / スクーリング・ルートプレーニング |
Research Abstract |
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)後の露出歯根面に対して適用する歯面改質剤を開発するにあたり、その対象部位であるSRP後の歯面状態を調査した。 SRPにより、表面に付着していた歯石や壊死セメント質等は除去され、歯面は肉眼的には平滑で滑沢な状態へと変化する。しかし、電子顕微鏡で観察すると、表面にはSRPで生じた切削片によるスメア層が形成されていた。このスメア層は、窩洞形成した場合においても同様に形成され、充填用レジンの接着を阻害する因子となる。スメア層は水洗等では除去されず、適切な歯面処理を行うことでのみ除去可能である。 SRP後の歯面に形成されるスメア層を除去した後に歯面改質剤を適用することは可能であるが、手順が煩雑化することが予想される。臨床での実用を考えた上で、今回の研究においてはスメア層を除去せずに適用するデザインを選択した。その上で、比較的高濃度のフッ化物を作用させ、スメア層内部へフッ素を浸透させて、薬剤自体が歯面より脱落した後も作用が継続する機構を取り入れようと考えている。 歯面の改質剤としては、現在広く使われているフッ化物(フッ化ナトリウム)を主体としたものを選択した。フッ化ナトリウムを用いた歯面の構造変化を検討した結果、フッ化物濃度は1%程度がその構造変化を来す最低濃度であり、あわせて作用時間もそれに加味されることが分かった。2.5%以上の濃度では、急速に歯面の構造変化をもたらすことも確認された。また、歯面へのフッ化物の取込み状態を調査したところ、表層数μmm程度の深さに限局したフッ素の局在が示された。 現在、フッ化物がスメア層により効果的に取り込まれるための条件を検討している。あわせて、当初の計画に含まれていた歯面への接着性を有する基材の選択を来年度以降行っていく予定である。
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