2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄・歯根膜再生療法を確立するためのin Vitroでのエナメル芽細胞の分化誘導
Project/Area Number |
15791107
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
諸冨 孝彦 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (10347677)
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Keywords | エナメル芽細胞 / サービカル・ループ / アピカル・バッド / 分化 / エナメル上皮 / 幹細胞 / 内エナメル上皮細胞 / アメロブラスチン |
Research Abstract |
本年度は未分化エナメル上皮細胞のエナメル芽細胞へのin vitroでの分化誘導法を確立するため、その分化機構の検索を行った。また、その分化過程である内エナメル上皮細胞の分化に関しても検索を行った。まず、以前確立した組織幹細胞様未分化エナメル上皮細胞株HAT-7の性質を調査し、これがエナメル上皮を構成している各種細胞への分化能を有することを報告した(J.Dent.Res.83:129-133,2004)。この研究により、HAT-7は各エナメル上皮細胞群の前駆細胞としての特徴を備えていることが確認された。また平行して、Apical Budより摘出した細胞群(エナメル上皮細胞前駆細胞群)およびその分化したエナメル上皮細胞である内エナメル上皮細胞、星状網細胞、中間層細胞、そして外エナメル上皮細胞を含む部位を単離し、初代単培養および歯乳頭細胞との初代共培養を行い、その分化機構を解析した。これにより内エナメル上皮細胞は、単培養においてもエナメル芽細胞様細胞へと分化しうることが確認された。さらにこれらの細胞群を歯乳頭細胞と共培養すると、単培養時と比較しエナメル芽細胞様細胞の出現が高位に認められた。一方Apical Budより摘出した細胞の単培養では、細胞は生存はするものの内エナメル上皮細胞様細胞、エナメル芽細胞様細胞ともに分化が認められなかった。しかしながら共培養では内エナメル上皮細胞様細胞、エナメル芽細胞様細胞ともに出現し、その割合は前期の細胞群を共培養したものとほぼ同様であった。以上の結果より(1)未分化エナメル上皮細胞が内エナメル上皮細胞へと分化するには歯乳頭細胞が必要とされること、(2)内エナメル上皮細胞はすでにエナメル芽細胞への分化運命が決定していること、(3)歯乳頭細胞は内エナメル上皮細胞への分化経路に入っていない細胞(星状網細胞)を、この分化過程へと誘導しうる可能性があることが示唆される。
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Research Products
(1 results)