2003 Fiscal Year Annual Research Report
エナメルマトリックスタンパクを用いた再植歯における機械受容終末の再生
Project/Area Number |
15791109
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
菊池 正浩 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (90337163)
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Keywords | エナメルマトリックスタンパク / Enamel Matrix Derivative / 歯牙再植 / 歯根膜 / 歯周組織 |
Research Abstract |
本研究は、再植歯にエナメルマトリックスタンパクを用いることで、歯周組織の治癒機転がどのように働くか、また、形態学的に再生したルフィニ終末が機械受容終末として機能し得るか検討することを目的とする。 まず、再植歯に対するEnamel Matrix Derivative (Emdogain^【○!R】 Gel;以下EMD)の作用を調べるため、ラット再植歯の実験モデルにEMDを応用した際の歯周組織の動態を病理組織学的に検討した。ラット上顎右側前歯を全身麻酔下で抜歯し、生理食塩水中で根基部歯胚相当部を切断、根基部方向より抜髄、低融点warmed Gutta Purchaにて逆根管充填した。実験群は再植前に歯根及び抜歯窩へEMD (30mg/ml)を0.05ml添加した。対照群ではEMD無添加の状態で再植した。観察期間終了後に組織切片を作製し、H-E染色を施した。 結果として、実験群では、術後1週間目で歯根膜は不整ではあるがセメント質-歯槽骨間の連続性を回復するとともに歯根膜中には島状の骨が発現し、根尖部においては歯胚相当部に新生骨の添加が認められた。術後2週間目で歯根膜は規則性をほぼ回復し、根尖部の骨も厚みを増していた。対照群では、術後1週間目で歯根膜は不整ではあるがセメント質-歯槽骨間の連続性は回復していた。歯根膜中における島状の骨の発現はほぼ認められなかった。術後2週間目で歯根膜の連続性は依然不整であるが、歯根膜中に島状の骨の発現が認められた。根尖部では歯槽骨の肥厚が認められた。 以上のことから、ラット再植歯にEMDを応用することで、規則的で連続性のある歯根膜の早期の回復や、歯根膜周囲や根尖部歯槽骨における早期の骨添加といった、歯周組織の創傷治癒の促進が考えられる。 本結果は、日本歯科保存学会2004年度春季学会(第120回)において発表予定である。
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