2004 Fiscal Year Annual Research Report
部分床義歯人工歯の咬合接触の違いが咀嚼時のうまみ抽出量におよぼす影響
Project/Area Number |
15791118
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上野 剛史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30359674)
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Keywords | 部分床義歯 / 咬合接触 / 咀嚼機能評価 / 被験食品 / 呈味成分 / 味覚 |
Research Abstract |
初年度において,唾液中のグルタミン酸濃度,また被験食品によってはイノシン酸濃度を味覚センサにより測定する予定であったが,唾液中の無機イオンやタンパク質,とくにNaClがセンサのうまみ成分に対する応答に影響し,正確なデータを得られないことがわかった.次段階として,被験食品中のうまみ成分を咀嚼前後で測定して比較することを検討したが,被験食品中のうまみ成分以外の無機イオン,タンパク質などの影響の大きさ,固形であるサンプルを液状化することの困難さ,さらに1つの食品でも部位が異なればうまみ成分の濃度が変化するなどのことから,こちらの場合も味覚センサを用いたうまみ成分の抽出は困難であると判断された.こういつたことから,被験食品にはできるだけ単純な試料が適しているという考えに至った.そこでまずベースとして味成分に対して不活性な材料であるパラフィンワックスを用い,これに純粋な呈味成分を溶かし込んで被験食品を製作することとした.しかしパラフィンに不溶である呈味成分がパラフィンワックス中で偏在し,咀嚼によって抽出される呈味成分量の再現性が低くなり,被験食品として適さないことがわかった.そこでグミを被験食品として呈味成分を溶かし込み,正常有歯顎者に咀嚼させたところ,咀嚼回数と呈味成分の抽出量に相関が認められたことから,このグミを被験食品として選択することとした.この呈味成分にはスクロースを用い,咀嚼前後の被験食品中の糖濃度を,糖度計を用いて測定することで再現性,信頼性ともに高いデータを得ることが可能となった.味覚を指標とした咀嚼機能評価には,被験食品の味成分が口腔内に抽出されても,実際にその味を味わえているかどうかが重要であると考えられる.そこで本研究では,味濃度を規定したグミゼリーを健常者に咀嚼させ、口腔内に抽出された糖濃度の客観的なデータと,味を感じたかどうかのアンケートによる主観的なデータとの相関性を分析し,咀嚼機能の評価方法を確立する.さらに,義歯の床の形態や人工歯の形態などと,味覚との関連性を検討し,これらについて臨床的な示唆を得ることを目標とし,現在実験を進めている.
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