2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791122
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 直子 (五十嵐 直子) 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20313520)
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Keywords | 開口運動 / 頭部運動 / 食物摂取 / 食品空隙 |
Research Abstract |
【研究目的】 種々の大きさの開口における頭部および下顎の動態を分析し、開口運動と下顎運動要素、及び頭部運動の関連性を調べる。 【研究実績】 被験者は、顎口腔系に異常を認めない健常有歯顎ボランティア10名とし、あらかじめ実験の概要について十分に説明し、実験への協力に対する同意を得た。被験者を背もたれのない椅子に着座閉眼させ、竹串に刺した種々の大きさのリンゴを手で把持させた後、開眼して食べるように指示した。6自由度顎運動測定装置TRIMETを用いて、食物摂取時の下顎運動と頭部動態を測定した。被験食品として、直径9,12,15,18,21,24mm、厚さ5mmの円盤形の食物(リンゴ)を用い、各サイズにおいて5回ずつの試行を行った。 食物摂取時の開口量は、リンゴの直径が大きくなるに従って増加し、その値は被験食品の直径よりも常に大きく(平均7.3mm),食品と上下顎前歯切縁との間には食品空隙(武正ら、2001)が存在していた。食品空隙は食物の大きさが大きくなるのに伴って減少する傾向にあった。 食物摂取時の開口時には上顎切歯点は前上方へ移動しており、タッピング運動におけるよりも前方成分が大きくなる傾向を示した。タッピングにおいては、頭部運動は回転が主体なのに対し、食物摂取時の開口運動時には頭部運動の回転要素だけでなく並進要素が観察された。これらのことから、食物摂取時の開口運動に伴う頭部の運動は、食物を「迎えに行く」要素が加わっていると考えることができる。
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