2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔環境の変化が海馬歯状回のニューロン新生に及ぼす影響
Project/Area Number |
15791148
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
青木 宏道 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50350533)
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Keywords | 神経新生 / 海馬歯状回 / 咀嚼運動 / Brd-U / 軟食と硬食 |
Research Abstract |
本研究の目的は,脳内,特に海馬における神経新生が生活環境の変化や咀嚼器官の変化によって影響を受けるかどうかを明らかにすることである.本年度は,軟食と硬食の食物形態の違いが海馬の神経新生に及ぼす影響について観察した.Wister系雄性ラットを用い,3週齢の離乳直後から軟食(粉末)と硬食(固形)の実験群に分けそれぞれ7週齢,14週齢,24週齢まで飼育した.屠殺2時間前にBrd-U(bromodeoxyuridin)を腹腔内投与し,その後麻酔下で4%パラホルムアルデヒドにて灌流甲定を行い,脳を摘出する.そして,前頭断凍結連続組織切片を作製し,免疫化学組織学的手法にてBrd-U抗体を反応させ,DAB(Diaminobenzidine)基質によってBrd-U陽性細胞の発色を行った.海馬の歯状回におけるBrd-U陽性細胞を観察したところ,7週齢飼育では硬食,軟食群共に有意な差は認められないが,14週齢飼育では軟食群で減少傾向にあり,24週齢飼育では軟食と硬食との間に有意な差が認められた.現在,観察されたBrd-U陽性細胞が神経細胞になるか検討中である.また,咀嚼器官の変化によって影響を受けるかどうかの検討であるが,歯を抜く,咬合状態を変えるといった条件を与えているが,このような条件が直接的に影響しているかどうかは不明であり,現在検討中である.今後,実験条件を変えていくことによって,食生活の変化,咀嚼器官の変化がもたらす海馬への影響がさらに明らかとなり,痴呆,アルツハイマー疾患などの予防策の1つとして提唱することが出来るのではないかと考えられる.
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