Research Abstract |
研究の目的 仮骨延長法(distraction osetogenesis)は,顎顔面領域にも臨床応用がなされ,現在まで延長装置の改良によって徐々に適応症は拡大してきている.顎骨腫瘍などで顎骨の欠損が生じた場合,臨床的には骨移植法または骨延長法が選択されている.骨移植の場合,移植後の骨吸収という問題があり,咀嚼機能の回復まで行えるほどの形態の回復は難しく,骨延長の場合,移動骨片が必要,延長方向がほぼ一方向という欠点があり,適応症は限られている.両者を同時に行い,顎堤形態を回復させる方法の報告はなく,基礎的実験データが必要と思われる.そこで顎骨欠損モデルに対し,移植した骨片に対し即時骨延長法を行い,本方法がX線学的,組織学的に臨床応用可能か実験を行う.対照として骨移植法と比較検討する.移植骨の骨延長を行った部位は,マイクロCTにて分析し,超微細構造(5μmの解像度)の解明を行う.さらに同標本をin situハイブリダイゼーションにより骨形成マーカー(オステオカルシン,骨型アルカリホスファターゼ,I型コラーゲン)の検出を行い,超微細構造との関連を比較検討する. (1)実験材料:ビーグル犬10頭を実験に用いた. (2)実験方法:右側を実験側(移植骨即時骨延長側),左側を対照群(骨移植側)とし,骨再建後の期間によってそれぞれ4,12週群とした.両側下顎前臼歯相当部を抜歯し,歯槽骨欠損モデルを作成した.実験側は10日間の待機期間の後,水平的延長を0.3mm/dayで10日間,計3mmの延長を行い,顎堤形態を回復させた.骨移植側も同様に骨を移植した.延長終了後より4,12週で安楽死させ,試料を採取する.今後X線学的,組織学的検討を行う予定である.
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