2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤ドセタキセルの破骨細胞の分化・機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
15791192
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
高橋 昌宏 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (90340059)
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Keywords | ドセタキセル / 破骨細胞 / 骨吸収 / 骨芽細胞 / 細胞増殖 / 扁平上皮癌 / 細胞骨格 / 微小管 |
Research Abstract |
【目的】 タキサン系抗癌剤であるドセタキセル(タキソテール)はパクリタキセル(タキソール)の類縁体として注目されている。タキサン系抗癌剤は細胞骨格である微小管の基本構成単位であるチューブリンに結合し微小管を過重合させ、細胞分裂を妨げ抗腫瘍活性を示すことが明らかにされている。しかし、正常細胞に対する影響については明らかにされていない。本研究ではドセタキセルの破骨細胞への影響について検討した。 【結果】 1.骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系において、細胞播種1時間後にドセタキセルを添加した場合、10^<-7>Mで破骨細胞の強力な誘導抑制が認められた。播種72時間後にドセタキセル添加した場合、10^<-6>Mでも抑制効果は認められなかった。 2.骨芽細胞、骨髄細胞のそれぞれに各種濃度のドセタキセル刺激を添加して、細胞増殖活性測定(Alamar Blue assay)を行うと、細胞播種後1時間でドセタキセルを添加した場合、10^<-7>Mで強力な増殖抑制が認められたが、72時間後に添加した場合には抑制効果は認められなかった。ヒト扁平上皮癌由来細胞(SCC TM)ではドセタキセルに対して感受性が高く(10^<-8>M)、マウス骨芽細胞株MC3T3-E1細胞では10^<-6>M濃度で感受性が認められた。 3.ドセタキセル10^<-6>M添加で破骨細胞の吸収窩形成が強力に抑制された。 4.ドセタキセルによる骨芽細胞のRANKL、OPG mRNAの変化は認められなかった。 【考察】 以上の結果からドセタキセルは破骨細胞前駆細胞の増殖と機能を抑制したが、破骨細胞の分化は抑制しないと考えられた。
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