2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791203
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
簡野 瑞誠 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40345301)
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Keywords | 歯根膜 / 廃用性萎縮 / 再賦活化 / 振動刺激 / 矯正 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
【目的】当教室においては、咬合刺激が歯根膜の恒常性を維持するという観点から、咬合機能低下モデルを用いて、機械的刺激が欠如した歯根膜の病態生理についてさまざまな報告を行ってきた。その中で、廃用性萎縮した歯根膜または自家移植時に損傷した歯根膜が矯正治療中にリモデリングされることに着目し、超弾性Ti-Ni合金ワイヤーを通じて歯根膜に与えられる微小振動刺激が、歯根膜線維の再生に関与していることを明らかにする目的で、in vivo、in vitroにて実験を行った。 【材料および方法】Flexercell Strain Unitを用いて、歯根膜細胞およびstromal cell line ST2に対し、伸展刺激を48.時間にわたり与え、歯根膜細胞におけるプロテオグライカンの産生や、ST2細胞の分化に及ぼす影響について検討した。また、ラットを用いた移植モデルにおいては、術後の歯根吸収やアンキローシスがどのような機序で発生し、それらに機械的刺激がどのように関与しているかを検討した。 【結果】歯根膜細胞は伸展刺激により、デコリンをはじめとするプロテオグライカンやtype I collagenの産生が上昇し、アルカリフォスファターゼ活性は低下した。未分化間葉系ST2細胞においては、骨芽細胞の分化マーカーであるCbfa1/Runx2 mRNAの発現が弱い刺激では増加し、強い刺激では減少した。一方、強い刺激ではアルカリフォスファターゼ活性は低下し、type I collagenの産生が上昇した。ラットを用いた移植モデルでは、移植後、咬合刺激を排除するとアンキローシスが起こり、移植直後の咬合刺激は歯根吸収をおこすことが明らかとなった。 【考察】機械的刺激は細胞分化を促がし、生理的機能の恒常性が維持される。未分化間葉系細胞は、刺激の種類により、異なる細胞へと分化し得ることが示唆された。移植後の移植歯歯根膜の再生には、咬合力などの機械的刺激の関与が大きな役割を果たし、一定条件下の強度や頻度が必要であることが示唆された。
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