2003 Fiscal Year Annual Research Report
MMPの転写促進活性を有する遺伝子多型は歯周病のリスクファクターになりうるか?
Project/Area Number |
15791235
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
久保田 健彦 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50303136)
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Keywords | matrix metalloproteinases / gene polymorphisms / periodontitis / susceptibility / diagnosis |
Research Abstract |
Matrix metalloproteinase (MMP)-1とMMP-3は、歯周炎における結合組織破壊に深く関わっている。また、MMP-11G/2G (-1607),MMP-3 5A/6A (-1171)の遺伝子プロモーター領域の多型はそれぞれの遺伝子発現量に影響することが知られている。本研究の目的は、これらの遺伝子多型が歯周炎発症・進行の感受性に関係があるかについて調べることである。 新潟大学歯学部付属病院歯周病診療室を受診した患者のうち、十分なインフォームドコンセントが得られた侵襲性歯周炎患者(AgP)37名、慢性歯周炎患者(CP)(軽度65,中等度84,重度56名計205名、及び健常者(HC)142名の計384名を対象とし、末梢血よりゲノムDNA採取・抽出した。被験者はすべて全身的に健康で喫煙歴のない日本人を選択した。遺伝子多型のタイピングは、各々の多型領域に特異的なプライマーとMGBプローブを設計後Taqman【○!R】 PCR反応によりFAMとVICの蛍光の違いを検出するABI PRISM 7900HT Sequence detection systemにより決定した。 本研究において、国内外で初めてTaqman【○!R】 PCRによるMMP-1,-3遺伝子多型解析に成功した。遺伝子多型頻度の結果は以前報告された正常日本人における頻度と近似していたが、欧米人やブラジルの報告とは異なる傾向を示した。MMP-1 1G/2G(-1607),MMP-3 5A/6A(-1171)共に遺伝子多型分布、アレル頻度、アレル保有率、ハプロタイプ頻度についてAgPとHC間、AgPとCP間、CPとHC間すべてにおいて統計学的に有意差は認められなかった。またCPの重症度においても相関は見られなかった。 以上より、Taqman【○!R】 PCR法を用いたSNPタイピングは従来のRFLP法やシークエンシング法より簡便・迅速でしかも正確であることが確認された。 MMP-1及びMMP-3は結合組織・骨組織破壊において重要な役割を果たしていると同時に治癒や組織リモデリングにも関与している。また他のMMPsやTIMPsとの量的バランスも考慮する必要があり、今回のMMP-1,-3遺伝子プロモーター領域の多型のみでは歯周炎のリスクの統計学的な決定までは至らなかった。 以上のことから歯周炎の易感受性は遺伝子による影響を含めて、きわめて複雑にコントロールされていると考えられ、単一遺伝子多型のみでの影響は少ないと結論付けられた。 尚、本研究結果は国内外の学会にて発表済みであり、国際誌に掲載予定である。
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Research Products
(1 results)