2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎における歯肉溝上皮の細胞間接着装置を介した情報伝達機構の解析
Project/Area Number |
15791240
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
篠原 千尋 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50332820)
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Keywords | 歯周炎 / 上皮細胞 / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
歯周治療時に得た炎症歯肉をパラホルムアルデヒドにて固定後パラフィン包埋し、連続切片を作製した。これらの切片にE-カドヘリン、α-カテニン、β-カテニン、γ-カテニン、オクルディンの抗体を用いて免疫染色を行った。E-カドヘリンは、基底細胞層かち顆粒細胞層にかけて上皮細胞の辺縁部および細胞突起に特異的な発現が認められた。結合組織内の炎症性細胞浸潤の多寡によるE-カドヘリンの発現に明らかな差は認められなかった。強度の炎症部位においては、上皮組織の剥離や上皮細胞間への炎症性細胞の浸潤、上皮細胞間の間隙の増大や細胞間橋の消失・断裂が認められた。β-カテニン・γ-カテニンについてもE-カドヘリンと同様、基底細胞層から顆粒細胞層にかけての上皮細胞の辺縁および細胞突起に発現が認められたが、α-カテニン、オクルディンについては弱い発現であった。α-、β-、γ-カテニンはいずれもE-カドヘリンの細胞膜裏打ちタンパクであるが、α-カテニンとβ-およびγ-カテニンの発現は一致していなかった。これらの結果をもとに、まずE-カドヘリンについてin situハイブリダイゼーション法を用いて炎症歯肉におけるmRNAの発現について検索を行っている。 また、in vitroの系については、埋伏歯の抜歯時に正常歯肉を採取し、結合組織と上皮組織を分離してそれぞれ培養し、正常ヒト線維芽細胞および上皮細胞を得た。コラーゲンゲル中で線維芽細胞を培養した上に上皮細胞を重層させて3次元培養を行い、歯周炎モデルを作製中である。
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