2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌のLPSが誘導する歯槽骨吸収へのTLR4の関与
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15791242
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森山 弘隆 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70346914)
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Keywords | A.actinomycetemcomitans / LPS / 破骨細胞 / 免疫組織学的研究 / TLR4 |
Research Abstract |
グラム陰性細菌のLPSは免疫系細胞を活性化し、IL-1βやTNF-αなどのの炎症性サイトカインを産生して破骨細胞を誘導する。破骨細胞の形成にはreceptor activator of NF-κB ligand(RANKL)が促進的に関与している。またLPS刺激の細胞内シグナル伝達にはTLR2やTLR4が関与しており、TLR4遺伝子のmutationを持つC3H/HeJマウスはLPSに低応答性であることが知られている。今回はC3H/HeJマウスとC3H/HeN(LPS応答性)マウスの歯肉に歯周病原性細菌A.actinomycetemcomitans(A.a)由来LPSを投与して、それぞれの歯槽骨吸収と歯肉結合組織におけるIL-1β及びRANKL発現を比較した。A.a由来LPSを48時間毎に1,4,7,10回投与後、下顎骨を摘出して試料を作製し、H.E染色、TRAP染色及び免疫染色を施した。破骨細胞の活性吸収面ならびに免疫組織学的検索の結果、C3H/HeNマウスではLPSの投与回数が増すに連れて破骨細胞数が増加したのに対し、C3H/HeJマウスではほとんど変化がなかった。また、7、10回投与群におけるIL-1β及びRANKL陽性細胞数はC3H/HeNマウスと比較してC3H/HeJマウスは有意に少なかった。以上のことよりA.a由来LPSによって誘導される歯槽骨吸収においては、TLR4を介してIL-1β産生やRANKL発現が調節されていると考えられる。
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