2003 Fiscal Year Annual Research Report
3次元マトリックスによる上皮―間葉相互作用メカニズムの解明と歯再生への応用
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15791255
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福本 恵美子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10264251)
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Keywords | 3次元マトリックス / シグナリング / FAK / インテグリン / フィブロネクチン |
Research Abstract |
歯の発生過程において、上皮-間葉相互作用は組織文化に重要な因子の1つである。また、その上皮-間葉間には基底膜のような細胞外マトリックスにより支持され、この細砲-細胞外マトリックスの相互作用の解明が歯の発生の理解のために重要と考えられる。我々は、新規3次元マトリックス培養法により、まずマトリックス間葉組織の相互作用について検討した。 新規3次元マトリックス培養法では細胞接着分子インテグリンα5β1と細胞外マトリックスであるフィブロネクチンの相互作用に変化が認められ、その下流分子であるfocal adhesion kinase (FAK)の活性化に影響を及ぼす事が知られている。そこで我々はFAK分子を欠損した細胞を用いて、新規3次元マトリックス培養におけるインテグリン-フィブロネクチンシグナリングについて解析を行った。方法としては、繊維芽細胞を用いて合成させた新規3次元マトリックスに、FAK欠失紬胞を撒き、細胞の3D matrix adhesionの形成・3Dマトリックス上での形状の違い・移動能を、免疫染色法、顕微鏡を用いた経時的観察・計測により解析した。通常2Dマトリックス上では、FAK欠失細胞はfocal adhesionは増加し、focal adhesionのturn overに異常を生じ、また移動能も欠失する事が報告されている。一方、3Dマトリックス上では、3D matrix adhesion様の接着班は形成するが,adhesionの大きさがFAK+/+細胞よりも太く短い。細胞形状は、2Dマトリックス上では、比較的円形であるが、3Dマトリックス上では、FAK+/+細胞と同様に長い突起伸展が認められるが、その長さがFAK+/+細胞よりも短い。移動能に関して、FAK+/+細胞と比較し、顕著に減少している。以上の事から、3Dマトリックス上でのインテグリン-フィブロネクチンシグナリングにもFAKの役割は重要、特に細胞の移動能に関して必要な分子である事が示唆された。 以後、歯原性細胞を用いて、3Dマトリックス上でのインテグリンのシグナリングの関係を解析していく予定である。
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