2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791262
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
豊福 明 福岡大学, 病院, 講師 (10258551)
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Keywords | 歯科心身症 / 診断と治療 / 顎関節症 / 線維筋痛症 / 舌痛症 / 非定型顔面痛 |
Research Abstract |
(1)歯科心身症疾患概念規定の検討 まず歯科心身医学、心身医学、精神医学および脳科学領域の文献的考察を行った。さらに実際に経験した症例を診療録をもとに治療の経過や転機、患者の反応などを分析し、また再発・再燃や患者の社会適応状態など長期予後も調査した。これらの結果から歯科心身症は、(1)思春期は少なく中高年患者が多い、(2)心理療法のみならず薬物療法が必要であること、(3)歯科治療の制限とその解除が治療のポイントになること、(4)長期予後は比較的良好であるが、再発・再燃の面から引き続き歯科治療には注意が必要であること、などが特徴と考えられた。この結果を、第8回日本心療内科学会パネルディスカッションにて「歯科口腔外科領域における心身医学的アプローチの特異性について」という演題で発表した。また、他領域とのオーバーラップについて考察し、第43回日本心身医学会九州地方会にて「線維筋痛症を伴った咬合の異常感(顎関節症)の1治験例」を発表し、日本歯科心身医学会雑誌に論文投稿し受理された。 これらの結果から、歯科口腔外科領域の心身症では心理社会的因子モデルが適応しにくいことが多く治療に難渋することが多いのは、口腔領域の解剖・生理学的特異性のみならず歯科治療による侵襲や口腔内環境の不可逆的変容という病態の特殊性に基づいていることが示唆された。現在引き続き、症候と経過・予後まで含めて「歯科心身症の疾患概念」を再検討している。 (2)歯科心身症疾患分類の試み まずは用語・病名整理のため、日本歯科心身医学会学術委員会において歯科心身医学関連の疾患名の整理・検討に参加し、その結果を日本歯科心身医学会雑誌18巻に「用字用語例」として掲載できた。「歯科心身症の疾患概念」の再検討とあわせて、さらに詳細な疾患分類を検討しているところである。
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Research Products
(1 results)