Research Abstract |
平成15年度においては,まず本研究に関する必要な文献および資料収集を行い,具体的な方法論について検討を行った.その検討内容を基に,4月および7月に調査を実施した.対象は,兵庫県内の4カ所の病院に従事する看護職で,総対象者は500名程度である(それぞれの調査によって,退職者,休職者の関係で対象者数が若干異なる).各調査施設の看護部(場合によっては病院長)に対して調査の目的,内容を説明し,協力を得た.本研究では医療事故という非常に繊細な内容を取り扱うだけに個人の秘密保持に努め,慎重かつ綿密に打ち合わせを行った.調査は同意の得られた対象者のみについて実施し,調査への協力が得られない場合に,対象者が不利益を被ることが一切ないこと,さらに当初同意した者であっても,本人の意志により途中で調査への協力を辞退したい場合には,対象者本人の希望が優先されることを説明した. メンタルヘルスは,労働に伴うストレスと一般的なストレスとを区別するために,職業性ストレスおよび一般的精神健康度の二面から評価を行った.前者には信頼性の高いNIOSH職業性ストレス調査票と努力-報酬不均衡モデル調査票を使用した.後者には精神健康調査票GHQ(General Health Questionnaire)28項目日本語版を用いた.メンタルヘルスに影響を及ぼすとされる生活上のライフイベント,余暇の過ごし方,勤務移動の有無などについても併せて調査した. 医療事故については,最近(基本的には前回調査から次回調査までの3.4ヶ月間)体験した医療事故およびヒヤリハットがあるのか,あればその回数,種類,形態,発生時間などを覚えている範囲で回答してもらった. 4月調査時に得られたデータについては入力およびその加工を行い,横断調査としての解析を進めている.医療事故,ヒヤリハットを体験した者と体験しなかった者とのメンタルヘルスについて比較検討し,次年度中に学術学会において,報告を予定している.7月調査分のデータに関しては,現在データ入力作業中であり,入力作業が終わり次第,メンタルヘルスの経時的変化を把握したい.平成16年度も引き続き,調査を継続する予定である.
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