2003 Fiscal Year Annual Research Report
体外受精を受療している女性の治療を継続する意思決定の分析
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15791312
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
阿部 正子 新潟県立看護大学, 看護学部看護学科・母子看護学講座, 助手 (10360017)
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Keywords | 不妊治療 / 体外受精(IVF-ET) / 意思決定 / カウンセリング / 不妊女性 |
Research Abstract |
平成15年度における研究目的は、(1)体外受精を受療している女性の治療を継続する意思決定を分析するためにデータを収集・蓄積する、(2)外国の生殖補助医療の現状を視察し、日本における不妊治療を受けている患者の意思決定支援のあり方を考察する、の2点であった。 (1)については9名の聞き取り調査を行った。その結果、体外受精を継続するには【経済的基盤の確保】と【夫の協力】が必須条件であり、治療を継続する意思決定要因には【漠然とした妊娠可能性への期待】【仕事と治療が両立できる環境の保証】【嫁・妻・娘という役割認識】【自身の挙児希望の強さ】があった。特に【漠然とした妊娠可能性への期待】には、不妊女性の治療歴や不妊原因の理解、自己の年齢等の認知が関与しているため、認知に影響を与える情報の量や質、情報の入手方法や提示のされ方、医療者と患者の関係性、相談相手の有無等を踏まえて、意思決定プロセスを更に詳細に分析することが今後の課題である。 (2)については、不妊カウンセラーを早期から病院に配置し、患者の意思決定支援を推進してきた歴史を持つオーストラリア、メルボルンにあるThe Royal Women's Hospitalを視察した。IVF-ETを受ける患者は希望すれば何度でもカウンセリングが受けられ、夫婦にとって子どもを持つ意味、IVF-ETを受けた場合のメリット・デメリット、IVF-ETが上手くいかなかった場合にどうするのか、どこまで治療を受けるのか等を話し合っていた。そしてインフォームド・コンセントが完全に行われた上での意思決定であることを最終的に患者とともに確認し、その意思決定の証人となることが不妊カウンセラーの重要な役割であった。以上より、不妊患者の意思決定支援には情報の正しい伝達と理解度の確認が必須であり、生殖補助医療におけるカウンセリングスタッフの導入を早急に実現する基盤の整備が我が国における課題と考える。
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