2004 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠期におけるセルフケア行動と看護介入モデルの検討
Project/Area Number |
15791325
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
園部 真美 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 講師 (70347821)
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Keywords | 妊娠期 / セルフケア行動 / 看護介入 |
Research Abstract |
妊娠中の妊婦のセルフケア行動を測定するための、主要概念と尺度について検討した。看護領域で通常使用されるオレムのセルフケア看護アプローチや、保健医療領域で用いられるセルフケア支援の考え方では、母体と胎児の健康に配慮しながら出産を迎える妊娠中という特殊な条件のもとにおけるセルフケア行動を測定するのには限界があった。そこで、妊婦のセルフケア行動に限定した尺度を検討した。「セルフケア行動意図尺度」「セルフケア行動動機付け評定尺度短縮版」(2004 真鍋ら)の尺度が開発され信頼性・妥当性が検証されている。臨床において妊娠期にスクリーニングする目的で使用するには簡便で実施可能であり支援につなげるために有効なツールではあるが、妊婦の実際の行動とその背景にある信念、妊娠・出産に対する期待、自分自身の健康状態の知覚などを詳細に分析するにはいくつかの課題を残すことがわかった。看護介入に生かすためには行動そのものの他に何らかの動機付けを測定することに変わりはないが、その項目を厳選させていくために海外文献も含め、再度検討していく必要がある。 妊娠期の健康管理の研究を進めてきたが、病院・助産院などの施設によりそのサポートに違いがあることが明らかとなった。妊娠期の看護介入(助産ケア)を評価するためには、ケアの受け手である妊婦とその家族、ケアを担っている助産師の双方の視点が重要であり、その情報収集と調査からいくつかの知見が得られた。病院に比べて助産院を希望する家族は、妊娠・出産に対して自ら産む姿勢が強く見られ、自分自身の健康管理が出産・育児のアウトカムにつながることから、専門家に依存することなく生活行動の改善を図っていた。一方、病院を選択した家族は、異常が起きた時の医療施設の対応に安心感を抱いており、主体的に出産するというよりはむしろ施設のシステムに自分を合わせるという行動が見られた。これは、研究対象者を選択する際に考慮すべき点であり、施設間の違いを含めて調査した方がより妊婦のセルフケア行動が把握できるということが新しく見出された。 研究対象者のサンプリングにあたり、病院を2施設、助産院を3施設選び出し、外来に訪れる妊婦の数、妊娠期のケア内容、施設の倫理委員会等の情報を得て現在検討中である。
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