2003 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のPEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)造設に関する看護の評価
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15791344
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒岩 智子 広島大学, 医学部, 助手 (10335648)
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Keywords | 胃瘻 / 高齢者 / 終末期 / 満足感 / QOL |
Research Abstract |
近年、経皮内視鏡的胃瘻造設術(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy : PEG)が普及してきた。しかし、適応となる嚥下障害を持つ高齢者は、脳血管障害・痴呆などにより、意識・認知障害を有していることが多く、PEG導入に際しては医療者サイドの保護の義務や家族の意思によるものがほとんどである。すなわち、高齢者自身の意思は見られずただ単に栄養を注入する一手段として行われるケースも少なくない。同様に、意識・認知障害のために患者本人の主観的な満足度に関するPEGの評価は不可能である。以上のように、PEGは患者の身体的栄養評価・介護量の変化・在院日数の変化や合併症の頻度の低下などの医療を提供する側からみた評価ばかりが述べられてきた。 本研究は積極的治療を目的としない高齢PEG患者の家族が、患者のQOLをどのように捕らえ評価しているかを明らかにし、さらに患者サイドからのPEG導入に対する評価にもせまることを目的とした。面接調査を行った対象者25名について、その基本属性ならびに高齢PEG患者の基本情報に対して記述統計を行い、それらと対象者の基本属性・患者の基本情報と調査項目の関連性を分析した。調査内容は、家族のPEG導入に対する満足感、家族が考える患者自身の意向、PEG導入に関しての家族の日常生活に関する評価、家族が感じる患者のQOL(フェイススケール)についてであった。面接調査を行い以下の結果を得た。1.家族の満足度は、過半数の68%であった。2.家族の満足度は、家族からみた患者の意向と有意に関連していた。3.一般的に考えられているPEGの利点・欠点については、患者の家族によってとらえ方はさまざまであり、個人差があった。4.家族の満足度は、睡眠状態の改善と患者の言動の増加に有意に相関がみられた。5.家族の考える患者のQOL(フェイススケール)は、家族の面会回数と有意に関連していた。以上より、高齢PEG患者に対し家族の満足感はほぼ良好な結果であった。PEG導入に際し看護師は、PEG導入に関したインフォームドコンセントに医師を含めた多職種と連携して関わる上で、効果的な看護介入を行うことが重要である。また、そのような看護師の働きかけにより、家族がPEG導入に対して肯定的な感情を持つことができ、患者のQOLを維持した生活ができるようにすることが、家族の満足感に繋がるものと思われた。
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