2003 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症患者の体内水分量に関する研究―BIS法の病的多飲水への応用―
Project/Area Number |
15791356
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐藤 美幸 山口大学, 医学部, 講師 (30285449)
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Keywords | 統合失調症 / 体内水分量 / インピーダンス法 / 病的多飲水 / 水中毒 / 精神障害者 / 精神科看護 |
Research Abstract |
本研究は統合朱調症患者を対象に、バイオインピーダンス法(BIS法)を用いて、体内水分量を測定し、患者と健常者との間でどのような相違があるのかを明らかにするとともに、統合失調症はじめ、精神疾患でよく見られる病的多飲水との関連性からBIS法の看護への応用の可能性を探るものである。 現在までのデータを整理した結果、統合失調症患者の体内水分量は健常者の体内水分量に比べて有意に少なく特に細胞内水分量が減少傾向にあることが判明した。また、病的多飲水患者の体内水分量は多飲行動を伴うにもかかわらず、健常者と同等あるいはやや低い結果となった。また、患者の多くは体脂肪率が高く、肥満の様相が明確となった。体脂肪量と体内水分量は表裏一体となっているため、体型、体脂肪率を一致させた群での比較を行ったが、同様に統合失調症患者で健常者に比べて有意に体内水分量が低い結果となり、体型や体脂肪抜きで鑑みても、統合失調症患者で脱水が起きている可能性を見いだした。 これらのことから、現在広く医療現場で行われている、多飲水傾向が目立つ患者に対して過剰な水分摂取の制限をかけることにより、脱水症を招く危険性がないかということが懸念されている。また、精神障害者に多く見られる口渇や病的多飲水、水中毒の原因の一端がこの体内水分量の減少にあるととも示唆された。今後、この研究結果をより確実なものとするため、対象者数を増やし、さらに信頼性のあるデータの解析を行っていくとともに、現在は冬季を中心にデータの収集を行っているが、夏季にもデータの収集を行い、季節による脱水傾向の有無やこれらの現象の原因は何かを探るために投薬量や口渇感、病歴などとの因果関係についての解析を行っていく予定である。
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