2015 Fiscal Year Annual Research Report
異なる文化的背景における欺き行為に関与する神経基盤の幼児発達研究
Project/Area Number |
15F15008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
開 一夫 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30323455)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MIYAUCHI CARLOS 東京大学, 総合文化研究科, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 社会脳 / 認知科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本実験では、事実とは異なる情報を伝えるという欺き行為を誘発するために次の課題を実施した。被験者は他の被験者1名とコンピューターを介してトランプゲーム「ダウト」を競技した(以後ダウト課題と呼ぶ)。一人はMRI室にてダウト課題を行い、他の被験者は別室でダウト課題を実施した。ダウト課題を数回繰り返し、被験者は、交互にMRI室でダウト課題を競技した。ダウト課題は、次の3条件で構成した。指摘されたカードが手元にあり、指定されたカードを出す条件(欺き行為が含まれない行為:ET)、指定されたカードが手元になく、指定されたカード以外のカードを出す条件(欺き行為が含まれる行為:IL)、指摘されたカードが手元にあるが指定されたカード以外のカードを出す条件(自発的な欺き行為が含まれる行為:EL)である。統計閾値としては全コントラストに対して、危険率(p値)が1%未満となるよう多重比較補正なしで行った。 EL条件では、自発的欺き行為特異的経験・欺き行為・行為の実行が、IL条件では、欺き行為・行為の実行が、ET条件では、行為の実行のみが喚起されると仮定した。EL-ETのコントラストでは、統計的有意な効果を左前部帯状回に認めた。IL-ETのコントラストでは、統計的有意な効果を右島皮質の中間部に認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.事実とは異なる情報を伝えるという欺き行為を誘発するためにトランプゲーム 「ダウト」のPC版プログラム(以後課題プログラムと呼ぶ)を作成した。2.日本とブラジルにおける遠距離競技を可能にするためOracle社のプログラム言語JAVAを用いて課題プログラムを作成した。3.日本人大学生5名を対象に予備実験を行い、課題プログラムの視覚情報や課題の長さなどを調整した。4.実験で使用する罪悪感、罰に関する質問紙 TOSCA-3(Test of Self-Conscious Affect、Version 3)を準備した。5.MRI実験において健常な右利きの日本人大学生1名を撮像した。6.MathWorks社のMATLABおよびUniversity College Londonで開発されたStatistical Parametric Mappingを用いてfMRI画像の前処理を行った。画像情報の前処理および画像統計処理は、Statistical Parametric Mapping 8 (SPM8; Welcome Department of Cognitive Neurology, London, UK)と MATLAB R2011b (Mathworks, Natick, MA, USA)にて行った。fMRI画像の前処理として、頭部の動き補正(realignment)、撮像タイミング補正(slice timing adjustment)、T1 強調画像への重ね合わせ(coregistration)、T1強調画像を用いたMNI(Montreal Neurological Institute)空間への標準化(normalization)、そして半値幅 8mm のガウスフィルタを用いて平滑化(smoothing)を行った。7.MathWorks社のMATLABおよびUniversity College Londonで開発されたStatistical Parametric Mappingを用いて個人解析を行った。fMRI画像は、SPM8を用いて、事象関連デザインにおける1標本のT検定を行った。第一段階解析として、各参加者の前処理後の時系列画像セットに、ボクセル毎の重回帰分析を適用した。低周波の生理的なアーチファクトを取り除くためにカットオフ周期128秒の高域通過フィルターを使用した 8.個人解析の結果を基に課題の妥当性を検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.MRI実験において健常な右利きの日本人大学生29名を撮像する。2.第二段階解析(集団解析)として、変量効果モデルに基づき、参加者間で統計検定を行う。3.ブラジルで課題プログラムを適用するためポルトガル語版を作成する。4.罪悪感、罰に関する質問紙 TOSCA-3(Test of Self-Conscious Affect、Version 3)のポルトガル語版を準備する。5.MathWorks社のMATLABおよびUniversity College Londonで開発されたStatistical Parametric Mappingを用いてfMRI画像の前処理を行う。画像情報の前処理および画像統計処理は、Statistical Parametric Mapping 8 (SPM8; Welcome Department of Cognitive Neurology, London, UK)と MATLAB R2011b (Mathworks, Natick, MA, USA)にて行う。fMRI画像の前処理として、頭部の動き補正(realignment)、撮像タイミング補正(slice timing adjustment)、T1 強調画像への重ね合わせ(coregistration)、T1強調画像を用いたMNI(Montreal Neurological Institute)空間への標準化(normalization)、そして半値幅 8mm のガウスフィルタを用いて平滑化(smoothing)を行う。6.MathWorks社のMATLABおよびUniversity College Londonで開発されたStatistical Parametric Mappingを用いて個人解析を行う。fMRI画像は、SPM8を用いて、事象関連デザインにおける1標本のT検定を行う。第一段階解析として、各参加者の前処理後の時系列画像セットに、ボクセル毎の重回帰分析を適用した。低周波の生理的なアーチファクトを取り除くためにカットオフ周期128秒の高域通過フィルターを使用した7.第二段階解析(集団解析)として、変量効果モデルに基づき、参加者間で統計検定を行う。8.成果を論文化する。
|